北海道 松前「温泉旅館 矢野」女将 杉本夏子さん

北海道 松前「温泉旅館 矢野」女将 杉本夏子さん

北海道の最南端に位置する松前町は、松前藩の城下町そして1万本の桜が彩る道内屈指の桜の名所としても知られています。松前城から至近の好立地に建つ「温泉旅館 矢野」は町一番の老舗宿。まろやかな自家源泉と、蝦夷あわびや松前産本マグロ、ウニといった津軽海峡の美味が心を癒やしてくれるはず。最近は藩主料理や、大女将と女将の松前漬け食べ比べなど、ワクワクする食体験も充実。歴史とグルメ旅に出かけてみませんか。

8~12月限定の松前産本マグロに舌鼓。味が濃い蝦夷あわびも

8~12月限定の松前産本マグロに舌鼓。味が濃い蝦夷あわびも

マグロ漁の盛んな津軽海峡。松前では8~12月に本マグロが水揚げされ、脂ののった新鮮な味わいを堪能できます。マグロのコースでは刺身や漬け、炙りのほか、市場には出回らないマグロの心臓や腸などが地元漁師の味わい方で提供され、新たな感動に出会えそうです。
ちょっと小ぶりで味の濃い蝦夷あわびは、酒蒸しやお味噌汁で満喫。また食文化を深く知るなら「藩主料理」のランチがおすすめ。あわび飯や松前漬けなどの郷土料理がずらりと並ぶおめでたい逸品です。

先代が掘り当てた温泉は、体の芯から温まるまろやかな湯

先代が掘り当てた温泉は、体の芯から温まるまろやかな湯

松前で天然温泉を楽しめるのは町内で2カ所だけ。2代目が苦労して掘り当てた茶褐色のナトリウム泉が、大浴場と露天風呂にたっぷりと注がれています。少々塩気のあるお湯はまろやかな湯ざわりが特徴。湯上がり肌はつるつるで、体の芯からぽかぽか温まります。湯冷めをしにくいので、マグロ漁に出かける前の漁師さんたちも浸かりにくるほどだとか。ほかにもサウナと、井戸水を使った水風呂があり、旅の疲れをリフレッシュできます。

松前城や三大桜を窓から眺める、落ち着いた和室

松前城や三大桜を窓から眺める、落ち着いた和室

国鉄の駅前に旅館が集まっていた昭和20年代、松前城の近くに宿を構えたのは初代女将の先見の明。鉄道が廃線になった今、お城ビューの同宿は観光拠点として抜群の立地を誇ります。客室はすべて和室で、松前城や三大桜を正面に望む客室や、シャワーブース付きのシンプルな客室などタイプはさまざま。食事はお城を眺められる大広間やレストランでゆったりと味わえます。

ロビーはまるで郷土資料館!松前藩ゆかりの甲冑や千両箱がずらり

ロビーはまるで郷土資料館!松前藩ゆかりの甲冑や千両箱がずらり

貴重なお宝が展示されたロビーも同館の見どころです。松前藩の殿様や家老の蔵、北前船にあった骨董品が並ぶ様子は、郷土資料館さながら。甲冑や千両箱といったゆかりの品々にまつわる物語をスタッフにたずねてみては。またお土産コーナーでは「手づくり松前漬」をぜひ。お正月の定番ともいえる松前漬は松前町の郷土料理で、町内にするめ裁断機があるのだそう!大女将による醤油味と女将の塩味を食べ比べしながら、旅の思い出に浸ってみませんか。

津軽海峡の町おこし!「マグ女」発起人として活躍中

津軽海峡の町おこし!「マグ女」発起人として活躍中

祖母、母、2019年に女将となった杉本夏子さんと、3代にわたり女性が支える「温泉旅館 矢野」。「わが家は『世界中どこに行ってもいい』という子育て方針で、中学から全寮制の学校に進学しました。でも旅館の跡継ぎというDNAは持っていましたね」。その遺伝子が目覚めたのは、銀行で働いていた30歳の時。「一生できる仕事を考え、旅館を継ぐと家族に告げました。驚いた母は阿寒湖にある大旅館に娘の修業をお願いしたんです。お掃除、フロント、女将業まで惜しみなく教えていただき感謝しています」。若女将として始動後は、旅館運営を自由に任されることに。「大きく変えたのは食材を地元産にすること。浜辺で採る海藻や漁師飯といった地元の人しか知らない味も取り入れました」。
松前城の目の前に旅館を開いた祖母、 温泉を掘り当てた母―。開拓魂を引き継ぐ杉本さんが新たに挑戦したのは「津軽海峡マグロ女子会」の立ち上げです。北海道新幹線の開業を前に「新幹線駅から遠いエリアの町おこし」を目指して始めた同プロジェクトは、今や北海道と青森県の18市町村92名の女子が参加しています。「いろんなスキルを持った方々の集まりなので、企画がスイスイ進みます」と杉本さん。10月には『マグ女のセイカン博覧会』として、エリアごとの寄り道プログラムを用意しているそう。「マグロのように前進あるのみ」と笑う女将がパワフルな仲間と力を合わせ、ふるさとをぐっと盛り上げています。

松前 温泉旅館 矢野
住所/北海道松前郡松前町福山123
TEL/0139-42-2525

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Drive! NIPPON編集部

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