潜伏キリシタンたちが250年守り続けた「祈り」。長崎・島原でゆかりの地を巡る

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2018年、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。江戸幕府による厳しい禁教令がしかれる中、キリシタンたちは一般社会と共生しながら潜伏し、250年もの長きにわたって独自に信仰を続けてきました。そこで今回はキリスト教禁教政策の強化、鎖国のきっかけとなった「島原・天草一揆(島原の乱)」終焉の地である長崎・島原の関連スポットをご紹介します。

天草四郎率いる一揆勢が籠城した激戦の舞台「原城跡」

天草四郎率いる一揆勢が籠城した激戦の舞台「原城跡」

世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成遺産の一つ、原城跡。領主の圧政と飢饉をきっかけに「島原・天草一揆」が勃発した1637年、天草四郎時貞を総大将とする一揆勢は廃城と化していた原城へ約4カ月にわたり籠城。12万人を率いる幕府軍による総攻撃の末、終焉を迎えます。別名「日暮城」ともうたわれた美しい海城は徹底的に破壊され、僅かに残る石垣が静かに歴史を伝えています。原城本丸には南島原市出身の彫刻家・北村西望による祈りをささげる天草四郎像や、民家の石垣に埋もれていた天草四郎の墓石が鎮座。車で5分ほどの場所には歴史を紹介する「有馬キリシタン遺産記念館」もあるので、あわせて立ち寄ってみましょう。

■長崎県南島原市南有馬町
■TEL:0957-65-6333(南島原ひまわり観光協会)

海上から島原・天草一揆の歴史に思いを馳せる「キリシタンクルーズ」

海上から島原・天草一揆の歴史に思いを馳せる「キリシタンクルーズ」

キリスト教禁教政策が強化され、鎖国へ歩みを進めるきっかけとなった島原・天草一揆。その歴史の舞台「原城跡」をガイド付きで海上から望むことができるショートクルーズです。かつて周囲4キロの三方を有明海に囲まれた丘に建っていた原城は、要塞的な造りから防御に適していたため、幕府軍は陥落までに困難を極めたといいます。歴史を知り尽くすガイドによる案内のもと、陸地とあわせて船上からその全容を目にすれば、立地の特徴や攻防戦の様子をよりイメージできそうです。南島原ひまわり観光協会HP 「みなみたびへの申し込み」から申し込みを(3コース・1人4,200円〜、「有馬キリシタン遺産記念館」入館券付き。受付は2人以上)。

■集合場所:原城遊漁船組合漁港
■TEL:0957-65-6333(南島原ひまわり観光協会)
■申し込みURL:https://himawari-kankou.jp/tour/detail.php

長い冬を乗り越えて。殉教キリシタンに捧げる祈り「カトリック島原教会」

長い冬を乗り越えて。殉教キリシタンに捧げる祈り「カトリック島原教会」

明治期以降まで続いた潜伏キリシタン弾圧に西洋諸国が強く抗議したこともあり、ついに1873年、日本でキリスト教が解禁。250年にも及んだキリシタン「潜伏」の時代は終わりを迎え、島原・天草一揆後にキリシタンが根絶したとされる島原半島では1902年からようやく再宣教が始まりました。こちらの教会は1932年に島原二の丸教会として建立され、島原・天草一揆から360年の節目となる1997年に島原半島殉教者記念聖堂が建設されました。八角形のドーム型をした美しい聖堂内には踏み絵のマリア像、島原・天草一揆で掲げた陣中聖旗の図案となった御聖体組のシンボルの油絵、殉教者名簿をつらねた掲示板などがあり、島原キリシタン殉教の歴史を教えてくれます。
※教会は信者の皆さんにとって大切な祈りの場です。見学の際はマナーを守りましょう。
(写真掲載に当たっては大司教区の許可をいただいています)

■長崎県島原市白土町1066‐3
■TEL:0957-62-0655(島原半島観光連盟)
■内覧時間:9:00~17:00(ミサ、冠婚葬祭時は入館不可の場合もあります)
■拝観料:無料(献金箱に寄付を)

数奇な運命に翻弄された城で地元の歴史に触れる「島原城」

数奇な運命に翻弄された城で地元の歴史に触れる「島原城」

キリシタン大名・有馬晴信のもとキリスト教信仰が盛んだった島原ですが、有馬氏に代わって松倉重政が入封すると、7年余りの歳月をかけて1624(寛永元)年に島原城を築城。一説によれば、その歳費を賄うために領民から過剰な年貢を取り立て、またキリシタンを厳しく弾圧。次代の勝家も政治姿勢を継承したため、これらの不満が島原・天草一揆の引き金になったといわれます。一揆勢に攻囲された島原城は難を逃れたものの、明治期の廃城令によって破却。1964(昭和39)年に天守閣が復興されました。現在は歴史資料館として利用され、天守閣のキリシタン史料館には有馬晴信統治下で栄えた南蛮貿易から宣教・禁教・弾圧の時代へと続く貴重な資料が展示されています。

■長崎県島原市城内1丁目1183-1
■TEL:0957-62-4766(島原城天守閣事務所)
■内覧時間:9:00~17:30(入館は17:00まで)

天草四郎と一揆勢を支えたスタミナ料理「具雑煮」(姫松屋)

天草四郎と一揆勢を支えたスタミナ料理「具雑煮」(姫松屋)

島原半島で正月などに食べる郷土料理の代表格・具雑煮。そのはじまりは島原・天草一揆とされます。総大将だった天草四郎が総勢3万7千の信徒らと原城に籠城した際、兵糧として貯えさせた餅と山海の材料で雑煮を炊いて食べ、長期戦を凌ぐことが出来たそう。こうした歴史をもとに文化10(1813)年、「姫松屋」の初代・糀屋(こうじや)喜衛ェ門が味付けに趣向を凝らした具雑煮が、郷土の味となって浸透。アナゴや鶏肉、椎茸、卵焼き、丸もち、春菊など山海の幸に恵まれた島原の集大成ともいえる味で、歴史探訪を締めくくりましょう。並980円(税込1,078円)、大1180円(税込1,298円)。

■長崎県島原市城内一丁目1208(島原城正面)
■TEL:0957-63-7272

〜まとめ〜

いかがでしたか? 厳しい弾圧においてなお信念を貫き通した、隠れキリシタンたちの光と陰の歴史。新型コロナの猛威によって、かつてない不安と混乱が渦巻く2020年。「祈り」の歴史を辿ることで、救いとなるヒントが見つかるかもしれません。

(文:三角由美子)

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