
冬のドライブは車のトラブルが起こりやすい季節。特に冬は気温の低下によってバッテリーの性能が落ちやすくなり、バッテリー上がりが急増します。この記事ではバッテリーの寿命や交換の目安をご紹介したうえで、ハイブリッド車や高級車に搭載される補機バッテリーやサブバッテリーの特性にも触れながら、冬に備えるための秘訣を解説します。
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目次
なぜ冬はバッテリー上がりが多い?

カーバッテリーは、エンジンの発電で得た電気を「蓄える」「供給する」役割を担っています。バッテリー内部では、鉛の極板と電解液(希硫酸)の化学反応によって充電や放電が行われます。この化学反応は温度の影響を大きく受けます。
冬にバッテリー上がりが多発する主な理由は以下の通りです。
1. 気温の低下により電解液の温度が下がると、化学反応が鈍くなりバッテリー容量が低下します。
2. 気温の低下によってエンジンオイルの粘度が高くなり、エンジン始動時の負荷が大きくなります。
3. 冬場の車内では暖房の使用が増加し、消費電力が増えます。また、日照時間が短くなることから、ヘッドライトを使う時間も長くなる傾向があります。
このように、冬はバッテリーの本来の容量が減るうえに消費電力が大幅に増えるため、充電と放電のバランスが崩れやすく、結果としてバッテリー上がりのトラブルが増えてしまうのです。
バッテリーの寿命と交換目安
突然のバッテリー上がりを未然に防ぐためには、愛車のバッテリーの寿命を把握し、交換のタイミングを逃さないことが大切です。以下、車の種類ごとにバッテリーの寿命・交換目安をご紹介します。
①一般的なガソリン車

一般的なガソリン車のバッテリー交換目安は、おおよそ2~3年とされています。この期間を過ぎると、バッテリー内部の劣化が進み、電圧が低下してエンジンがかかりにくくなるなど、バッテリー上がりを起こしやすい状態になります。以下のような症状が表れはじめたら「交換のサイン」です。
• エンジン始動時にセルモーターの回転音が弱くなったり、遅くなったりする
• エアコンやワイパー使用時にヘッドライトが暗く感じる
• パワーウィンドウの開閉が普段より極端に鈍くなった
• バッテリー本体の異変(液量の減少、本体の膨らみ、端子のまわりに粉がふいているなど)
• アイドリングストップ機能搭載車の場合は、アイドリングストップをしなくなった
このような症状が出てきたら、点検や交換を検討しましょう。
②ハイブリッド車の補機バッテリー

ハイブリッド車には、高電圧でモーター駆動を担う「駆動用メインバッテリー」と、ハイブリッドシステムの起動や非起動時の電装品への電力供給を担う「補機用バッテリー」の2種類が搭載されています。
補機用バッテリーはエンジン車と同じ12Vの鉛バッテリーのため、定期的な交換が必要です。ハイブリッド車の場合、補機用バッテリーはエンジン始動を担わないため負荷が小さく、寿命は3~5年程度といわれます。
補機用バッテリーが消耗するとハイブリッドシステムが起動できなくなり、車を動かせなくなります。ハイブリッド車の場合、エンジン車のような「パワーウィンドウの開閉が遅い」といった予兆がなく、突然寿命を迎えるケースが多くなります。
寿命の見極めが難しいため、走行距離よりも使用環境で劣化が進むことを踏まえ、3~5年を目安に定期的な点検・交換を検討しましょう。
③高級車に搭載されるサブバッテリー

近年、高級車やアイドリングストップ機能搭載車、キャンピングカーなどでは、電装品やアイドリングストップ用に、メインバッテリーとは別にサブバッテリーを複数搭載する車種が増加しています。
サブバッテリーは、走行系とは独立した回路で使用されることが多く、例えばキャンピングカーでは、エンジンをかけずに照明や冷蔵庫、FFヒーターなどを使うための別回路の電源システムとして機能します。高級車などの場合、片方のバッテリーが上がると誤作動の原因になることがあるため、両方のバッテリーの定期点検・同時交換が望ましいです。
サブバッテリーの寿命について、一般的には2〜3年と言われますが、使用時間が短くなったと感じたら交換時期だと考えましょう。
バッテリー点検の方法

バッテリー内部の劣化は、見た目では判断しにくいもの。バッテリー上がりを未然に防ぐために、定期的な点検を活用しましょう。
点検のポイントは以下の通りです。
電圧の確認
電圧計でバッテリーの電圧が12.5V未満になっていないかを確認します。通常時の電圧が12.5V未満だと、一般的にバッテリーの寿命と考えられます。
端子まわりの確認
端子部分にサビや白い粉状の腐食が見られる場合は、接触不良を起こしている恐れがあるため、清掃や交換を行いましょう。
専門家による点検
電圧が12.5V以上あっても、劣化によりトラブルに至る場合があるため、電圧だけで判断すべきではありません。点検方法が分からない場合や、本当に交換したほうが良いか知りたい場合は、カー用品店やディーラーなどが実施している無料点検を活用しましょう。
バッテリー上がりを防ぐコツ

日常のちょっとした工夫で、冬のバッテリートラブルは大幅に減らすことができます。
以下のポイントを押さえておきましょう。
①週に1度は走行する
長期間車を動かさないと、バッテリーに蓄えられた電力が自然に放電され、バッテリー上がりを起こしやすくなります。目安として1週間に1度は車を動かすようにしましょう。
ただし、短時間や短い走行距離では十分に充電されません。理想は、信号がなく停止する必要が少ない道を10km以上走行することです。
②電装品を使いすぎない
エアコンやカーオーディオ、ドライブレコーダー、スマートフォンの充電など、電装品の使用はバッテリーに負担をかけます。特にエンジンを停止した状態で電装品を利用すると、バッテリーの電力が消費される一方で充電はされない状態になるため、できるだけ避けましょう。
電装品を使用する際は、複数を同時に使わず、必要最低限の電装品に絞るなどの工夫が大切です。また、ヘッドライトや室内灯の消し忘れもバッテリー上がりの大きな原因となります。車を降りる際にライト類を確認する一手間で、バッテリー上がりを防げます。
③定期交換を意識する
突然のバッテリー上がりを防ぐには、「使用から2〜3年、長くても3〜4年で交換」を目安に、定期的な交換を意識することが大切です。
特に、ハイブリッド車の補機バッテリーやアイドリングストップ機能搭載車のサブバッテリーは前述の通り特殊な構造や役割をもつため、定期的な点検を行いましょう。
バッテリーが上がってしまった!いざというときに用意しておきたいもの

バッテリーが上がってしまった時に備えて、用意しておくと良いアイテムを紹介します。
ジャンプスターター
単体でバッテリーを充電できる車専用のモバイルバッテリーです。特に寒冷地へのお出かけの際などに積んでおくと安心です。
ブースターケーブル
他の車から電気を一時的に分けてもらい、エンジンを始動させるジャンピングスタートの際に使用できます。ただし、ケーブルのつなぎ方や外し方を誤るとショートや火花が発生する恐れがあるため、正しい手順で行うことが大前提です。自信がない方はプロに頼ることをおすすめします。
ロードサービスを呼ぶ
バッテリー上がりで困ったときは、ご自身が加入する自動車保険に付帯されているロードサービスを利用するのが最も確実で安心な方法です。料金は契約内容によって異なるので、事前に保険内容を確認しておきましょう。
(まとめ)冬のドライブ前にカーバッテリーの点検を
バッテリーは寒い冬に性能が低下しやすく、バッテリー上がりは冬に多発する代表的なトラブルのひとつです。突然のバッテリー上がりで立往生することを防ぐために、寿命や交換目安を知っておくことも大切です。冬のドライブ前に、点検と定期的な交換で、安心のカーライフを送りましょう。

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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