
新車や中古車を購入したとき、あるいは引っ越しで住所が変わったときなど、自動車の保管場所を証明する「車庫証明」が必要になることがあります。「手続きが複雑そう」「どのような書類を準備すればよいのだろう」と、不安に感じている方もいるかもしれません。この記事では、車庫証明の取得方法から必要書類とその書き方、住所変更などの際に必要な手続きについて解説します。
TABLE OF CONTENTS
目次
車庫証明とは? どのようなとき必要になるか
車庫証明とは、正式には「自動車保管場所証明書」といい、自動車の保管場所が確保されていることを証明するための大切な書類です。この書類は、運輸支局で自動車の登録手続きなどを行う際に必要となります。
普通自動車の場合、主に以下のようなときに車庫証明の取得が必要です。
・新規登録:新車や中古車を新たに保有するとき
・移転登録:売買や譲渡などで所有者を変更するとき
・変更登録:引っ越しなどで住所や事業所の所在地を変更するとき
こうした手続きは、自動車が適切に管理され、道路交通の安全が保たれるように定められています。なお、これまで自動車保管場所証明書とともに発行されていた、車両に貼付する「保管場所標章(標章シール)」は、2025年4月1日より廃止されました。
出典:警視庁「警察署窓口での保管場所証明申請・届出手続」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/index.html
警視庁「保管場所法改正と手数料等変更のおしらせ」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/commission.html
車庫証明の取得の方法

車庫証明を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。
・申請書類を入手し記入する
・管轄の警察署に書類を提出する
・警察署で車庫証明を受け取る
各ステップで必要なことと手続きをスムーズに進めるためのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
申請書類を入手し記入する
車庫証明の申請は、まず必要書類を準備することから始めましょう。申請書類は、保管場所を管轄する警察署の窓口や警察署のウェブサイトで入手できます。入手した書類は、見本などを参考に、不備がないように正確に記入することが大切です。
管轄の警察署に書類を提出する
申請書類の準備ができたら、自動車の保管場所の所在地を管轄する警察署へ提出します。提出先は、交通課の「車庫証明窓口」が一般的です。申請時には、申請手数料(2000~2300円)と標章交付手数料(500~600円)が必要です。各都道府県によって手数料は異なるので、事前に管轄の警察署の情報を確認しておくと安心です。
書類が受理されると、証明書を受け取る際に必要となる引換証が渡されます。紛失しないよう大切に保管してください。
警察署で車庫証明を受け取る
申請書類を提出しても、車庫証明は即日交付されるわけではありません。警察署内で書類の内容が確認され、場合によっては保管場所の現地調査が行われます。
そのため、交付までには通常3〜7日程度の期間が必要となります。申請時に受け取り可能日が伝えられますので、その日以降に再度警察署へ向かいましょう。受け取りの際は、申請時に渡された引換証が必要になるため、忘れずに持参してください。
出典:警視庁「保管場所証明申請手続(窓口での申請)」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/jidousha_syomei.html
車庫証明に必要な書類と書き方

車庫証明の申請には、いくつかの書類を準備する必要があります。主に必要な書類は以下の通りですが、自動車の保管場所がご自身の所有物か、あるいは賃貸かによって、一部の書類が異なるため注意が必要です。
・自動車保管場所証明申請書
・保管場所の所在図・配置図
・車庫が自分の所有地の場合は、保管場所使用権原疎明書面(自認書)
・保管場所が貸し駐車場の場合は、保管場所使用承諾証明書
また、申請者の住所と実際に車を使用する場所が異なる場合は、別途「使用の本拠の位置が確認できるもの」の提出が必要です。ここでは、各書類の概要と書き方のポイントを解説します。
自動車保管場所証明申請書

「自動車保管場所証明申請書」は、車庫証明の申請における中心的な書類です。この書類には、主に以下のような基本情報を記入します。
・申請者の氏名・住所
・自動車のメーカー名・型式・車台番号
・保管場所の位置
書類を記入する際は、黒のボールペンを使い、楷書で丁寧に書くことを心がけましょう。もし書き損じた場合は、修正液や修正テープは使わず、二重線で訂正した上で訂正印を押印してください。申請内容に不備があると、警察署での確認に時間がかかったり、再提出を求められたりする可能性があります。自動車検査証(車検証)などを手元に用意し、記載されている情報を正確に転記することが重要です。
保管場所の所在図・配置図

「保管場所の所在図・配置図」は、自動車の保管場所がどこにあり、どのような状況なのかを地図や図面で示すための書類です。この書類は、以下の2つで構成されています。
・所在図
・配置図
「所在図」には、自動車を使用する拠点である「使用の本拠の位置」(自宅や事業所など)と、保管場所の位置関係を記入します。両方の地点を地図上で示し、その間の直線距離を明記する必要があります。手書きで地図を作成するほか、地図サービスの印刷物を貼り付けて使用することも可能です。
一方、「配置図」には、保管場所そのものの具体的な状況を記入します。保管場所の縦と横の寸法、出入り口の幅、そして保管場所に接する道路の幅員などを記載し、申請する自動車が問題なく収容できることを証明します。
駐車場が自己所有の場合―保管場所使用権原疎明書面(自認書)
自動車の保管場所が申請者自身の所有する土地や建物である場合に提出するのが、「保管場所使用権原疎明書面(自認書)」です。
「使用権原を疎明する」とは、その場所を使用するための正当な権利があることを自ら証明するという意味です。つまりこの書類は、申請者自身が「この場所は私の所有地なので、自動車の保管場所として使用します」と公式に認めるためのものになります。この自認書は、申請者本人が必要事項を記入し、署名することで効力を持ちます。第三者に作成を依頼する必要はありません。
賃貸駐車場の場合―保管場所使用承諾証明書
月極駐車場など、賃貸の保管場所を利用する場合は、「保管場所使用承諾証明書」が必要です。この証明書は、その駐車場の所有者や管理会社から、自動車の保管場所として使用することの承諾を得ていることを証明する役割を果たします。
作成に際しては、申請者自身ではなく、駐車場の所有者や不動産管理会社に記入と押印を依頼する必要があります。作成には数日かかる場合や、発行手数料が必要になるケースもあるため、早めに依頼しておくとよいでしょう。なお、この書類は申請者自身で作成することはできません。必ず駐車場の所有者や管理者に作成を依頼しましょう。
使用の本拠の位置が確認できるもの

申請書に記載する住所と、実際に自動車を使用する拠点である「使用の本拠の位置」が異なる場合、その事実を確認できる資料の提出を求められることがあります。「使用の本拠の位置」とは、以下の場所を指します。
・個人の場合は実際に居住している場所
・法人の場合は活動の実態がある事業所や営業所
例えば、住民票の住所と単身赴任先が異なるといったケースでは、その事実を証明する書類の提出が必要です。その際は、使用の本拠の位置がわかる公共料金の領収書や、消印のある郵便物、運転免許証などを確認資料として用意しましょう。
出典:警視庁「保管場所証明申請手続(窓口での申請)」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/jidousha_syomei.html
出典:警視庁「自動車の使用の本拠の位置とその位置を確認できるもの」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_syousai/shiyouhonkyochi.html
保管場所だけが変わった場合は保管場所届出手続を

自動車の所有者や住所は変わらず、月極駐車場を変えた場合など、保管場所(車庫)のみを変更したときは「保管場所届出手続き」が必要です。
この手続きは、自動車の購入や引っ越しにともなう「保管場所証明申請(通称:車庫証明)」とは異なるので注意しましょう。
保管場所届出手続きでは、主に以下の書類を準備し、新しい保管場所の所在地を管轄する警察署へ届け出る必要があります。
・自動車保管場所届出書
・保管場所の所在図・配置図
・保管場所の使用権原を疎明する書類
このうち「自動車保管場所届出書」と「保管場所の所在図・配置図」は、全ての場合で必要です。一方、「保管場所の使用権原を疎明する書類」は、保管場所の所有状況によって提出する書類が次のように異なります。

出典:警視庁「保管場所届出手続(窓口での届出)」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/jidousha_todokede.html
(まとめ)車庫証明は自動車の保管場所を証明する大切な書類
車庫証明は、自動車を適切に管理するために欠かせない大切な書類です。一見すると手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、事前に流れと必要書類をしっかりと確認しておけば、スムーズに進められます。この記事で解説したポイントを参考に、準備を進めましょう。

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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