
夏休みやお盆の帰省など、長距離を車で移動する機会が増える季節。ロングドライブはマイカー生活の醍醐味の一つですが「目的地に着く頃には腰まわりのだるさや肩こりでひどく疲れてしまう」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
運転による疲れは、楽しかった思い出を半減させるだけでなく、集中力の低下を招き、安全運転の妨げになる恐れがあります。この記事では、長距離運転を快適に楽しみたいドライバーの方へ向けて、疲れにくく安全なドライビングポジションの合わせ方や、正しいシートベルトの装着方法などを解説します。
TABLE OF CONTENTS
目次
運転中、腰が疲れる理由と負担を軽減するポイント

正しい運転姿勢の具体的な合わせ方は次の章で詳しく解説しますが、まずは運転中に体へ負担がかかる原因と、その対策のポイントを理解しておきましょう。
厚生労働省の資料において、長時間同じ姿勢でいることや、車の走行による振動に長時間さらされることが、腰痛の主な要因だと指摘されています。同じ姿勢が続くと特定の筋肉に負担が集中して血行が悪くなるため、痛みや疲れとして体に現れます。
この負担を軽減するには、運転姿勢を最適化し、体圧を適切に分散させることがポイントです。具体的には、シートの座面や背もたれの角度を適切に調整し、腰とシートの間にできる隙間をクッションなどで埋めると、腰まわりにかかる圧力を軽減できます。つまり体への負担を軽減するこの調整は、そのまま正しい運転姿勢にもつながります。
出典:厚生労働省「運送業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000041115_3.pdf(P8、P14、P22))
正しいドライビングポジションの合わせ方

運転の疲れを減らすには、正しいドライビングポジションを保つことがポイントです。自分の体格に合わせてシートやハンドルの位置を適切に調整することで、腰や肩への負担が少ない姿勢を保てます。以下のステップに沿って実践しましょう。
STEP1.シートに深く腰掛ける
お尻を背もたれにしっかりとつけシートに深く腰掛けます。腰とシートの間に隙間ができないようにするのがポイントです。また、シートの高さ調節ができる場合は、ご自身にフィットする高さに調整しましょう。
STEP2.シートの前後をスライド調整する
ブレーキペダルを一番奥まで強く踏み込んだときに、膝が伸びきらず軽く曲がる余裕がある位置にシートを調整します。膝が伸びきると、急ブレーキ時に十分な力をペダルに伝えられません。
STEP3.背もたれの角度を調整する
背もたれは、ハンドルの頂点を手で握ったときに、肘が軽く曲がる程度の角度に調整します。背もたれはやや立て気味にすると骨盤が安定し、腰への負担の軽減にもつながります。
STEP4.ハンドルの位置を調整する
ハンドルの位置は、メーター類が隠れないようにし、操作しやすい位置に調整します。上下(チルトステアリング)や前後(テレスコピック)調整機能がある場合は、体格に合わせて最適な位置に設定しましょう。
STEP5.ヘッドレストの高さを調整する
最後に、ヘッドレストの高さを調整します。ヘッドレストの上端が、ご自身の頭頂部と同じ高さになるように調節します。
正しいシートベルトの装着方法

安全に運転するためにはシートベルトを正しく装着しましょう。シートベルトを正しく装着することで、衝突時の衝撃を胸や腰といった体の丈夫な部分で受け止め、ダメージを軽減できます。
まず、腰ベルトは、お腹の柔らかい部分ではなく、骨盤を巻くように腰骨のできるだけ低い位置でしっかりと締めます。これにより、衝突時に体が前方に飛び出すのを防げます。次に、肩ベルトは首にかからないよう、鎖骨の中央を通るように調整。ベルトがねじれていたり、たるんでいたりすると本来の性能を発揮できないため、必ず確認しましょう。最後に、バックルの金具を「カチッ」と音がするまで受け口に確実に差し込みます。
妊娠中の方も、ご自身とお腹の赤ちゃんを守るためにシートベルトを着用することが大切です。ただし、健康状態によって着用は適当かどうかが異なるため、必ずかかりつけの医師に相談し、その指示に従いましょう。
身長100~150cm未満のお子様には学童用ジュニアシートを用意

道路交通法では、後部座席を含む全ての座席でシートベルトの着用が義務付けられています。しかし、6歳未満のお子様や、6歳以上であっても体格上の理由でシートベルトを適切に着用できないお子様もいるでしょう。その場合、シートベルトの代わりにチャイルドシートを使用する必要があります。法律では年齢で定められていますが、身長150cm未満のお子様は安全のためにも、体格に合わせたチャイルドシートの準備が大切です。一般的に学童用のジュニアシートは身長100~150cm未満で、大人用のシートベルトを正しく使用するために装着します。ジュニアシートでお子様の座高を補うことで、大人用のシートベルトを正しい位置(肩ベルトは鎖骨の中央、腰ベルトは骨盤)で使えるようになります。
出典:警察庁「全ての座席でシートベルトを着用しましょう」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/seatbelt.html
正しいミラーの合わせ方

安全運転のためには車のミラーを正しい位置に調整することが重要です。ミラーが適切な角度に設定されていると、死角を最小限に抑えられ、車線変更や合流、後退時の事故リスクを低減できます。なお、ルームミラーやサイドミラーの調整は、必ず正しい運転姿勢を保った状態で行うことが大切です。シートポジションを確定させ、シートベルトを着用してから調整を始めましょう。
まず、ルームミラーは、後方のリアウインドウがミラーの中央に映るように調整します。背景が左右対称になるように合わせることで、後続車の位置が確認しやすくなります。次にサイドミラーの調整です。左右のミラーは、ミラーの内側に車体が4分の1程度映り、上下は地平線から下がミラーの3分の2程度になるように調整します。自分の車の一部を映り込ませることで、後続車との距離感が掴みやすくなります。
小休憩では腰痛予防ストレッチでリフレッシュ

長時間の運転では、同じ姿勢が続くことで筋肉が硬直し、血流が悪くなりがちです。これが腰まわりのだるさや肩こりの原因となります。そのため、サービスエリアなどでの小休憩の際には、車から降りて体を動かすことが大切です。以下のような簡単なストレッチを取り入れてみましょう。
腰まわりの筋肉をほぐす前屈運動
腰まわりの筋肉をほぐす前屈運動では、足を肩幅に開いて立ち、息を吐きながらゆっくりと上体を前に倒します。膝は軽く曲げても構いません。腰や太ももの裏側が心地よく伸びているのを感じながら、20〜30秒その姿勢をキープ。これを1〜3回繰り返すことで、腰回りの筋肉の緊張を和らげられます。
太ももの前側を伸ばすストレッチ
固まった体をほぐすには、アクセルやブレーキ操作で使われる太ももの前側を伸ばすストレッチも効果的です。やり方としては、壁や車体などに手をついて体を支え、片方の足首を持ってかかとをお尻に近づけます。太ももの前側を伸ばすこのストレッチも、左右それぞれ20〜30秒キープし、1〜3回ずつ行いましょう。
小休憩では車から出て、少し散歩をするだけでも血の巡りが良くなります。簡単ストレッチも加えて、リフレッシュしましょう。
出典:厚生労働省「運送業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000041115_3.pdf(P27))
(まとめ)適度に休憩をとって安心安全ドライブ

厚生労働省がトラック運転者向けに示している資料では、腰痛予防などの観点から「連続運転は2時間までを目安に休憩をとる」ことが推奨されています。これはプロドライバー向けの目安ですが、一般ドライバーがドライブを楽しむ際は、疲れを感じる前にこまめに休憩をとることを大切です。近頃はドライバーの休憩場所であった道の駅やサービスエリアも観光スポットの一面があります。家族で夏のドライブ旅へ行く際は、楽しめる休憩スポットも多く組み込んで、ドライブプランに余裕をもたせて楽しみましょう。
出典:厚生労働省ホームページ「連続運転時間・休憩の考え方」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/dl/kousokubus-03_05.pdf

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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