隠れた良い車。 人気Youtuberウナ丼が語る　Vol.2

「新しい車、何にしよう…」と思った時に、YouTubeチャンネル『ウナ丼_STRUT_エンスーCARガイド』に辿り着いた方は多いのでは。ウナ丼視点全開で車語りをお届けする第二弾。テーマは「良い車なのに、いまひとつスポットライトが当たっていない車」。車系Youtubeの人気クリエイター「ウナ丼」に、隠れた良い車の魅力を語っていただきました。（語り ウナ丼/まとめ：オフィスタマ㈱）

プジョー・シトロエングループが作るミニバンのフィアット版、7人乗りの「マキシ」

爆売れではないけど味わい深い新車を紹介しているこのコーナー。今回はミニバンを取り上げます……ってちょっと待って帰らないでお客さん。確かにジャンルとしてのミニバンはめちゃくちゃ売れ続けてます。でも今回取り上げるのは違うんです。

まずはイタリアのフィアット・ドブロ。プジョー・シトロエングループが作るミニバンのフィアット版です。最安であるその名も「ベースグレード」は全長4405mmの5人乗りで実態はワゴン。でも7人乗りの「マキシ」ってのもあって、それはどう作ったか？　狭い空間に可変ギミック満載のシートを無理矢理詰め込む？　違います。正解はボディを365mm伸ばして3列目を設置する、でした。とんちかーい!!

荒っぽいと思いますが実車に触れると納得します。まず2列目シートがすでに特徴的。日本のミニバンでは2列目3人がけといっても快適なのは左右の2人だけ。ですが、ドブロマキシは運転席と同サイズの大型シートを3つピッチリ並べて明確に「オトナ3人が座る」設計になっています。

極めつけは3列目です。日本のミニバンでは特等席は2列目で、アルファード級でも3列目は見劣りします。しかしドブロマキシの3列目は2列目と同じ大型シート。「7人全員に同じサイズのシートと空間を与えれば良質なミニバンになる」というシンプルだけど力強い回答なのです。

人気の７人乗りの影に隠れている５人乗り仕様トヨタ・シエンタ

一方でトヨタ・シエンタ。全長わずか4260mmに7人乗りを実現した大ヒット作ですが、その代償は大きいです。3列目格納は複雑怪奇で、2列目を倒してから前に回転し、3列目を大移動して床下収納という忍者屋敷的操作が必要です。いま説明してる自分でも何言ってるのかわからないです。

Ⓒ７人乗り

しかし、今回注目すべきはあまり知られてない5人乗り仕様。てっきり3列目を取り払っただけかと思ったら、トヨタは2列目を専用設計し、設置位置も後方にずらして足元を広げています。荷室拡大時もシートは背面を倒すだけで座面とともに全体が沈むワンアクション式。無理をしない分、ゆとりができて使い勝手も向上しました。

つまり、ドブロマキシの「7人乗るには7人分の長さが必要」というシンプルな主張は、シエンタ5人乗りにも当てはまります。全長4.3ｍ未満には2列シートが適切なのです。

ですが、日本の道路・駐車事情がその自然解を許さないからこそ、忍者屋敷シエンタ7人乗りが爆売れしているのです。クルマって社会的な生き物なんですね（生き物？）

Profile
ウナ丼（うなどん）
クルマとバイク雑誌の編集長を経て2006年に独立し、自動車書籍出版社『エンスーCARガイド』を設立。出版物の告知で始めたYouTubeチャンネル『ウナ丼_STRUT_エンスーCARガイド』が、車両紹介専門へと変遷する中で認知が進み現在は登録者数 53万人。これまでに紹介した車両は1000台を超えています。