
車の売買や譲渡、相続などで必要になるのが「名義変更」です。この手続きを正しく行わないと、自動車税の請求や、万が一の事故の際に予期せぬトラブルの原因となってしまいます。この記事では、車の名義変更について、親子間の譲渡、亡くなった方の車の相続、法人から個人への変更など、ケース別に必要な書類と手続きの流れを解説します。
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目次
車の名義変更とは?

車の名義変更は、正式には「移転登録」または「変更記録」と呼ばれ、車の所有者を変更する手続きです。中古車販売店で車を購入した場合は販売店側が代行してくれることが多いため、一般には馴染みが薄いキーワードかもしれません。
しかし、家族や知人からの譲渡や、ネットオークションなどで車を購入した場合は、必ずご自身で名義変更手続き(所有者登録情報の変更)を行う必要があります。所有者が変わる場合、新しい所有者は15日以内に手続きをすることが法律で義務付けられています。
この手続きを怠ると、自動車税の請求が前の所有者に届いてしまったり、事故や違反が発生した際に前の所有者に責任が残ってしまったりといったトラブルが発生する可能性があります。また、名義変更が済んでいない状態では、車を使用することはできるものの、車検や廃車の手続きを行うことができません。トラブルを避けるためにも、速やかに手続きを行いましょう。
名義変更に必要な基本書類

名義変更(所有者の変更)の手続きを行う際、どのようなケースであっても共通して必要となる基本書類があります。旧所有者(譲渡人)と新所有者(譲受人)が協力して、次の書類を準備しましょう。
① 自動車検査証
自動車検査証(車検証)は、現在その車が登録されている情報を証明する、大変重要な書類です。手続きを行う際は、車検の有効期間が残っていることが前提となります。
自動車検査証には、AタイプとBタイプの2つがあり、Bタイプの場合は備考欄に所有者の情報が記載されています。ICタグが付いた電子車検証の場合、券面表示だけではタイプを判別できないため「車検証閲覧アプリ」や「自動車検査証記録事項」帳票で確認します。
② 譲渡証明書
譲渡証明書は、譲渡人から譲受人へ車が正式に譲渡されたことを証明する書類です。普通車の場合、この書類には譲渡人の実印による押印が必須です。
③ 印鑑証明書
普通車の名義変更は、実印の確認が必要となるため、譲渡人と譲受人、双方の印鑑登録証明書が必要です。
印鑑証明書は、発行されてから3カ月以内のものでなければ有効とされないため注意しましょう。軽自動車の場合は印鑑証明書は不要で、認印で手続きが可能です。軽自動車では、代わりに譲受人の住所を証明する書類(マイナンバーが記載されていない住民票など)を用意します。
④自動車保管場所証明書(車庫証明)
使用する本拠の位置が変わる場合、譲受人は自動車保管場所証明書が必要です。取得に1週間ほどかかるので早めに準備しておきましょう。
ケース別の必要書類

車の名義変更に必要な書類は、車の所有者が変わる状況によって異なります。特に、戸籍や法人の証明書が必要となるケースでは、書類の取得に時間がかかることがありますので、早めに確認しておきましょう。
① 親子間での名義変更

親子間での名義変更では、基本書類に加えて、親子であることを確認できる住民票などが必要になる場合があります。
このとき、譲渡人の氏名や住所が車検証の記載から変更されている場合は、その住所のつながりや氏名の変更の事実を証明できる住民票、住民票の除票、戸籍の附票、戸籍謄(抄)本などを準備する必要があります。住民票に前住所が記載されており、車検証記載の住所と一致していれば、住所のつながりを証明することができます。
② 亡くなった方からの名義変更(相続)

所有者が亡くなったことによる名義変更(相続)は、手続きが複雑になるケースの一つです。この場合、亡くなった方(被相続人)が車の所有者であったこと、そして誰が相続人であるかを証明する書類が必要です。
追加で必要となる主な書類には、戸籍謄本(または戸籍の全部/個人事項証明書)や、遺産分割協議書など、相続人を証明する書類が含まれます。また、相続人が複数いる場合は、相続人全員の同意が必要となるケースもあります。もし相続人が18歳未満の未成年者である場合は、両親の実印を押した同意書、戸籍謄本、両親のうち1名の印鑑証明書(発行後3カ月以内)が必要となります。
③ 法人から個人への名義変更

会社名義(法人)の車を個人名義に変更する場合、以下の書類が追加で求められます。
● 法人の印鑑証明書および登記事項証明書(または商業登記簿謄本)
● 譲受人(個人)の印鑑証明書
● 譲渡証明書(譲渡人である法人の代表者印を押印)
● 委任状(代理人が申請する場合)
会社が登記している本社住所とは異なる場所で、車を使用・管理している場合は、事業証明書や営業証明書、公共料金の領収書などが必要となる場合もあります。
名義変更の手続き場所と流れ

名義変更の手続きは、新しい車を使用する住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で行います。軽自動車の場合は、軽自動車検査協会が窓口となります。
手続きの一般的な流れは以下の通りです。
1. 必要書類の準備(発行に1週間程度かかる書類もあるため、早めに準備しましょう)
2. 譲受人の管轄地域の陸運局(運輸支局)へ行く(ナンバー変更が必要な場合、車を持参する)
3. 窓口で手数料納付書や申請書を入手し、作成する
4. 手数料分の印紙を購入し、納付書に貼付る
5. 申請書を含む必要書類を提出。新しい車検証が交付される
6. 自動車税の申告を行う
7. 管轄地域が変わる場合は、古いナンバープレートを返納し、新しいナンバープレートを受け取って封印する
前述の通り、名義変更手続きは、車の受け渡しがあった日から15日以内に行うことが定められているので、期限内に完了させるよう計画的に進めましょう。
(まとめ)ケースごとの書類を確認してスムーズに手続き
車の名義変更は手続きを怠ると、自動車税の請求や事故の責任が旧所有者に残るなど、思わぬトラブルにつながる可能性があります。名義変更に必要な書類は状況によって異なるため、事前に確認して準備しておくことが大切です。事前に準備を整えておけば、運輸支局での手続きもスムーズに進められます。親子間、相続、法人から個人への変更など、ケースごとの違いを理解しておきましょう。

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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