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投稿日:2025.08.27 Wed

更新日:2025.10.30 Thu

夏の車旅でのバッテリー上がりに備える!原因・対処法・予防策

夏の車旅でのバッテリー上がりに備える!原因・対処法・予防策

夏休みの楽しいドライブ中、突然のバッテリー上がりは避けたいものです。特に、普段あまり車に乗らない方や、長距離移動を計画している方は、事前の対策がとても重要になります。この記事では、夏のバッテリー上がりの原因から、万が一の際の対処法、そしてトラブルを未然に防ぐための予防策までを解説します。

夏にバッテリーが上がりやすい理由とは

夏にバッテリーが上がりやすい理由とは

はじめにカーバッテリーとは、車を動かすうえで不可欠な部品であり、エンジン始動やヘッドライト、ルームランプ、カーナビ、エアコンなどの電装品に電気を供給する蓄電池です。バッテリーが上がるとエンジンがかからず、電装品もほぼ使えなくなり、身動きが取れなくなってしまうのです。
JAF(日本自動車連盟)のロードサービス出動理由を見ると、年間を通して「バッテリー上がり」が常に1位を占めており、2024年度のデータでは全体の約42.37%に達しています。特にゴールデンウィークやお盆、年末年始などの長期休暇中に救援要請が急増する傾向にあるようです。
夏場にバッテリートラブルが増えるのには、いくつかの理由があります。
まず、高温の環境下ではバッテリーの自己放電が進みやすく、バッテリー自体にかかる負担が大きくなります。そのうえ、夏はカーエアコンをフル稼働させるため、バッテリーの負担がさらに増大するのです。また、渋滞時のような「ストップ&ゴー」が多い走行では、エンジンに連動して発電するオルタネーター(発電機)からの充電が追いつかず、バッテリーの電力が低下しやすくなることもバッテリーが上がりやすくなる原因になります。

出典: よくあるロードサービス出動理由 | JAF
(https://jaf.or.jp/common/about-road-service/frequency

こんな乗り方はバッテリーに負担をかける!

こんな乗り方はバッテリーに負担をかける!

普段の運転の仕方で知らず知らずのうちにバッテリーに負担をかけている場合もあります。ここではバッテリーに負担をかける一例を紹介します。

あまり走らずに放置している
バッテリーは何もしていなくても自然放電するため、長期間車を動かさないとバッテリー上がりの原因になります。1週間に1度は10km以上走行するのが理想的です。

短距離の走行が多い(ちょこちょこ乗り)
短い時間や距離の走行では、バッテリーが十分に充電されません。不完全な充電が続くとバッテリーにダメージを与え、寿命が短くなってしまいます。

夜間の利用が多い
夜間はヘッドライトを常時点灯させるため、電力消費が激しくなりバッテリーへの負担が増加します。

電気を消費するアクセサリーを多く使う
エアコン、カーオーディオ、ドライブレコーダー、スマートフォンの充電など、多くの電装品を同時に使用すると、バッテリーには大きな負担がかかります。特にエンジンを停止したまま電装品を使い続けると、バッテリーの電力が急速に消耗するため要注意。また、駐車監視機能付きのドライブレコーダーを搭載している車は、エンジンを切っていても微弱な電流が流れ続けるため、大容量バッテリーを使用するのがおすすめです。

アイドリングストップ機能を意図的にOFF

アイドリングストップ機能を意図的にOFF

アイドリングストップ機能付きの車は信号待ちなどでエンジンが自動停止し、再始動を繰り返すため、セルモーターやバッテリーに負荷がかかります。アイドリングストップ搭載車には、高い耐久性と蓄電量を備えた専用のバッテリーが搭載されていますが、エンジンの停止と始動を繰り返すのでバッテリーへの負担は大きいものです。さらに近年の車に搭載される充電制御システム(エンジン負荷の軽減、燃費向上を目的にバッテリーの状態に応じて発電を調整する仕組み)は、充電と放電を頻繁に繰り返すためバッテリーへの負担は大きくなっています。

夏場のバッテリーへの負担を軽減したい場合は、アイドリングストップ機能を意図的にOFFにするのも一つの方法です。またアイドリングストップ車は通常のバッテリーと比べて劣化のサインが分かりにくい傾向があります。定期的に点検することもバッテリー上がりを未然に防ぐコツです。

“突然死”するバッテリーが増えている理由

“突然死”するバッテリーが増えている理由

バッテリーの劣化の兆候として、エンジン始動時のセルモーターの回転が弱くなる、ヘッドライトが暗くなる、パワーウィンドウの開閉が遅くなる、バッテリー液の減少や濁りといったいくつかの症状が現れます。また、アイドリングストップ機能が搭載された車の場合、機能が作動しなくなることもひとつの劣化のサインです。しかし、近年ではバッテリーの性能が向上し、寿命が尽きる寸前までほぼフルスペックに近い性能を維持できるタイプが増えています。これにより、バッテリーが弱っているサインをキャッチしにくくなり、予兆なくバッテリーが上がる「突然死」と呼ばれる現象が起こりやすくなっているのです。

そのため、一般的なテスターで電圧を測定し、異常が見られない場合であっても、実際にはバッテリーの内部で劣化が進行していることがあります。より正確なバッテリーの状態を知るためには、カー用品店などで提供されているバッテリーチェッカーを利用し、CCA(コールド・クランキング・アンペア)値を計測するのがおすすめ。CCA値が標準値よりも低下している場合は、早めの交換を検討するのが賢明です。

出先でバッテリーが上がった時の対処法

出先でバッテリーが上がった時の対処法

万が一、車旅の途中でバッテリーが上がってしまった場合、落ち着いて対処することが大切です。主な対処法は以下の通りです。

1. ロードサービスを呼ぶ
JAFの会員であれば、ロードサービスを呼ぶのが最も確実で安全な方法です。全国どこでも救援要請に対応しています。また自動車保険にロードサービスが付帯している場合もあるため、事前に契約内容を確認しておくことをおすすめします。

2. ジャンピングスタートを行う(他の車から電気を分けてもらう)
ジャンピングスタートとは、バッテリーが上がった車に、別の車(救援車)から電気を分けてもらい、一時的にエンジンを始動させる方法です。救援車とブースターケーブルがあれば自分で行うことも可能ですが、接続手順を誤ると、火花による引火や車両の電子機器の故障、感電などのリスクがあります。作業に不安がある場合や手順に自信がない方は、無理せずロードサービスなどのプロに依頼することをおすすめします。ジャンピングスタートの具体的な方法については後述します。

3. カーバッテリー充電器やジャンプスターターを使って自分で対処する
市販のポータブルカーバッテリー充電器やジャンプスターターを事前に用意しておけば、バッテリーが上がってしまった場合でも他の車の救援を必要とせず、単独でエンジンを始動させることが可能です。スマートフォン充電器やライトとしても使える多機能な製品もあり、遠出の際には車に積んでおくと安心です。

ジャンピングスタートのやり方

ジャンピングスタートのやり方

ジャンピングスタートは、バッテリーが上がった車に対して、他の車のバッテリーから一時的に電気を供給し、エンジンを始動させる方法です。正しい手順と注意点を守って作業しましょう。

必要なもの
救援車(バッテリーが正常な車)
ブースターケーブル(赤と黒の2本組。車の電流値に合ったものを選ぶ)

手順

1. 準備:
バッテリーが上がった故障車と、救援車をブースターケーブルが届く位置に向かい合わせて停車します。両車のエンジンを切り、ヘッドライトや室内灯、エンジンキーがオフの状態であることを確認します。

2. 赤いケーブルの接続:
故障車のプラス(+)端子に赤いケーブルのクリップを取り付けます。カバーが付いている場合は外します。次に、赤いケーブルの反対側のクリップを救援車のプラス(+)端子に取り付けます。

3. 黒いケーブルの接続:
救援車のマイナス(-)端子に黒いケーブルのクリップを取り付けます。そして、黒いケーブルの反対側のクリップをバッテリーが上がった故障車の金属部分(エンジンブロックなど、ボディの未塗装部分)に取り付けます。取り付け場所は車種によって異なるため、取扱説明書で確認しましょう。

4. エンジン始動と充電:
救援車のエンジンをかけ、数分間そのままにして故障車のバッテリーを充電します。救援車のアクセルを少し踏み込み、エンジン回転数を1,500~2,000回転程度に保つと効率が良いとされています。

数分間、救援車のエンジンをアイドリングさせて電力を送り、故障車のエンジンがかかるようになれば成功です。

5. ケーブルの取り外し
故障車のエンジンが始動したら、まず救援車のエンジンを止めます。ケーブルは接続したときと逆の手順で取り外します。(故障車の黒ケーブル → 救援車の黒ケーブル → 救援車の赤ケーブル → 故障車の赤ケーブル)

注意点:
接続順序を間違えると、火花や爆発につながる危険があります。
クリップがバッテリー端子以外の金属部分に接触しないように注意してください。ショートの原因になります。
• ケーブルを冷却ファンやベルトなどの回転部分に巻き込まないように十分に注意しましょう.
濡れた手で作業すると感電の危険があるため、雨天時などはゴム手袋を着用するか、プロに依頼しましょう。
• ブースターケーブルに破損や断線がないか、事前に確認しておきましょう。損傷したケーブルでは電気が流れません。

ガソリン車がハイブリッド車にジャンプスタートを頼んではいけない理由

ガソリン車がハイブリッド車にジャンプスタートを頼んではいけない理由

ガソリン車のジャンピングスタートによる救援をハイブリッド車に依頼することは、不測の事態を招く恐れがあるため、原則として「厳禁」とされています。

ハイブリッド車には、モーター駆動用の高電圧メインバッテリーと、車内の電装機器やハイブリッドシステムの起動に使う12Vの補機用バッテリーの2種類が搭載されています。ガソリン車のバッテリーはエンジン始動時に「大きな電力」を発生させ、スターターモーターを回す仕組みですが、ハイブリッド車の補機用バッテリーはハイブリッドシステム(コンピューター)を起動させるための小さな電力しか供給しません。

そのため、バッテリーが上がったガソリン車にハイブリッド車の補機用バッテリーをつなぎ、ガソリン車のエンジンを始動しようとすると、想定外の大電流がハイブリッド車側に流れ込む可能性も。これにより、ハイブリッド車の電源系統が故障したり、補機用バッテリーが爆発したり、ハイブリッドユニットまで壊れてしまう可能性があるのです。

一方で、ハイブリッド車の補機用バッテリーが上がった場合は、ガソリン車からのジャンピングスタートで救援することは可能です。ただし、この場合も車の取扱説明書に従い、正しい方法で接続しましょう。

(まとめ)1度バッテリー上がりを経験したバッテリーにはご注意を。安全に夏旅を楽しみましょう

バッテリーの寿命を延ばすためには、週に1回は車を動かすこと。また、ヘッドライトや室内灯の消し忘れ、半ドアによる室内灯の点灯など、バッテリーが上がる主な原因にも注意し、降車時には必ず確認を怠らないように確認することも大切です。
また、一度バッテリー上がりを経験したバッテリーは、たとえエンジンが再始動したとしても、劣化が進行している可能性があります。特に交換から数年が経過している場合は、バッテリーの性能が落ちていることが多いため、速やかにカー用品店やカーディーラーなどでバッテリーの状態を点検してもらい、必要であれば交換を検討しましょう。一度バッテリーが上がるとナビやテレビの設定がリセットされたり、パワーウィンドウが作動しなくなる車種もあるため、注意が必要です。

バッテリーの内部劣化は見た目では判断しにくいものです。定期的なメンテナンスという車の「健康診断」を怠らず、安心で快適な夏のドライブを楽しみましょう!

Posted by

Drive! NIPPON編集部

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