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投稿日:2023.04.11 Tue

世界遺産・北の縄文遺跡群を訪ねて

北海道・北東北の縄文遺跡群とは?

北海道・北東北の縄文遺跡群とは?

北海道・北東北の縄文遺跡群は、森や海、川などの自然の恵みを受けながら1万年以上にもわたって採集・漁労・狩猟によって定住した人々の生活と精神文化を伝える文化遺産。北海道・青森県・岩手県・秋田県に点在し、縄文時代の集落や墓地、祭祀や儀礼の場である「環状列石」など、17の遺跡で構成されています 。2021年7月、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。縄文時代の暮らしぶりと平和を愛する精神文化を、遺跡めぐりでたどります。

竪穴建物、墓地、貯蔵穴、掘立柱建物などさまざまな施設からなる大規模な拠点集落

竪穴建物、墓地、貯蔵穴、掘立柱建物などさまざまな施設からなる大規模な拠点集落

ドライブ旅の始まりは日本最大級の縄文集落跡「特別史跡 三内丸山遺跡」から。青森市中心部から車で15分ほど、国の特別史跡にも指定されています。陸奥湾をのぞむ段丘上に大規模な拠点集落があり、集落には施設で構成されています。膨大な土器や石器、日本最多の2000点を超える土偶などの祭祀遺物が出土しているほか、多種多様な動物の骨や魚骨、クリやクルミなどの木の実などから、陸に囲まれた内湾地域の生活や祭祀・儀礼の豊かさが分かる重要な遺跡。拠点となる「三内丸山遺跡センター」はレストランや売店も備えており、青森県立美術館がすぐ隣にあるという立地も魅力的です。

特別史跡 三内丸山遺跡
■住所:青森県青森市三内
■URL:https://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/

食を通じて縄文時代に触れられるレストラン

食を通じて縄文時代に触れられるレストラン

縄文時代の人々は狩りで仕留めた小動物や魚介、採取した栗や木の実を、生食のほか火を使って調理し、食べたと考えられています。そこで縄文時遊館内にある「五千年の星」では、縄文人の食生活に着想を得て現代風にアレンジ。ホタテや古代米、栗、くるみ、そばの実といった、縄文時代から食されていた青森県産食材をメニューに取り入れています。中でも人気なのが「そふと栗夢(くりーむ)」。栗の甘い香りとなめらかな食感が特徴で、モンブランケーキをイメージして仕上げた一品です。

れすとらん「五千年の星」
■TEL:017-782-5001(㈱城ヶ倉観光)
■営業時間:11:00~15:30(L.O15:00)
※イベントなどにより営業時間を変更する場合あり
■休業日:三内丸山遺跡センターと同じ
■座席数:テーブル席80席 ※子ども用イスあり
■URL:http://www.jogakurakanko.jp/gosennennohoshi/

眺望絶景!複雑な配石構造を持つ大規模な環状列石

眺望絶景!複雑な配石構造を持つ大規模な環状列石

三内丸山遺跡から車で20分ほど。山中の砂利道を抜けた先に「小牧野遺跡」が姿を現します。八甲田山の西の麓に広がる台地上に立地し、円状に石が配置された「環状列石」を中心とした祭祀遺跡です。環状列石は、中央帯・内帯・外帯の三重になっており、その周りに一部、四重となる列石もみられます。その直径は、全体で約55メートルにも。内帯と外帯は楕円形の石を縦・横に組み合わせて円が形成されており、土偶やミニチュア土器、400点以上の三角形の岩版など、祭祀に使われた遺物が多数出土しています。

史跡 小牧野遺跡
■住所:青森県青森市野沢
■URL:https://komakinosite.jp/

海水性・汽水性の貝塚が環境の変化を教えてくれる集落跡

海水性・汽水性の貝塚が環境の変化を教えてくれる集落跡

青森県最大の湖で太平洋に続く小川原湖。ここに面した段丘上に大規模な貝塚を伴う集落跡「二ツ森貝塚」があります。貝塚下層にはハマグリやマガキなどの海水性、上層にヤマトシジミなどの汽水性(淡水と海水がまじり合った水)の貝殻が堆積し、海面が上昇して海岸線が内陸に移動する「海進」・逆に海岸線が海側に後退する「海退」による環境変化への適応を示しています。動物の骨や角でつくられた骨角器も多数出土していて、中でも「鹿角製櫛」は高い精神性と加工技術を今に伝えます。2021年4月には旧小学校の一部を改修し、二ツ森貝塚から出土した資料の展示を行う「二ツ森貝塚館」もオープンしました。

二ツ森貝塚史跡公園
■住所:上北郡七戸町字貝塚家ノ前
■URL:https://www.shichinohe-kankou.jp/futatsumorikaizuka/

小中学生は無料!国宝に”触れる”埋蔵文化財センター

小中学生は無料!国宝に”触れる”埋蔵文化財センター

八戸自動車道・八戸ICから車で10分、八戸久慈自動車道・八戸是川I.Cからならわずか5分。のどかな里山風景の中に、赤と黒の外観が映える「是川縄文館」が見えてきます。縄文遺跡群の構成資産である、是川石器時代遺跡から見つかった美しい漆塗りの道具や、たくさんの土器や土偶を展示しています。中でも目玉は、風張I遺跡の国宝「合掌土偶」。1階アトリウムには3Dプリンターによる“触れる”合掌土偶もあり、見て、(解説を)読んで、触れて、国宝の魅力を体感することができます。小中学生は入館無料。毎週日曜日には火起こしや土器づくりなど縄文のものづくり体験もあるので、親子で楽しんでみては? ボランティアによる無料展示解説を利用すれば、さらに理解が深まりますよ。

史跡 是川石器時代遺跡
■住所:青森県八戸市是川字横山1
■TEL:0178-38-9511
■営業時間:9:00~17:00(入館~16:30)
■休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土・日曜日、祝日の場合は開館)、年末年始(12/27~1/4)
※是川石器時代遺跡は整備工事のため見学できません
■URL:https://www.korekawa-jomon.jp/

墓地と祭祀場、“祈りの場”を中心とした拠点集落

墓地と祭祀場、“祈りの場”を中心とした拠点集落

岩手県北部から青森県南東部を流れる馬淵川沿いの段丘上に立地する「御所野遺跡」。東西に長く伸びた台地の中央に、配石遺構を伴う墓地、祭祀場である盛土が形成され、その周囲に大型・中型・小型の竪穴建物が配置された拠点集落です。祭祀場である盛土からは、大量の土器や石器とともに、焼けた動物の骨や堅果類(木の実)などが出土し、火を用いた祭祀が繰り返し行われたことを物語ります。内陸の川沿いの地域の暮らしや精神文化を伝える重要な遺跡。敷地内には「御所野縄文博物館」があり、遺跡や出土品の紹介のほか、縄文時代にちなんだ体験学習も楽しめます。

史跡 御所野遺跡
■住所:岩手県二戸郡一戸町岩舘
■URL:https://goshono-iseki.com/

築150年の古民家レストランでくつろぎのひととき&ご利益も?

築150年の古民家レストランでくつろぎのひととき&ご利益も?

御所野縄文公園近くにある「うらら亭」は、築150年の古民家を活かした旧家レストラン。趣ある空間でゆったりとくつろぎながら、食事やティータイムが楽しめます。代々伝わる器でいただく郷土料理から、パスタにカレー、カフェメニューまで多彩なメニューが揃い、自家栽培野菜や手作りベーコンが料理を彩ります。また「お店に座敷わらしが住んでいて動画を撮ると映る」とか、「敷地内の樹齢300年の松にカップルで触れるとずっと仲良くいられる」など、旧家ならではの神秘的な噂も興味深いところ。近くには子宝・安産のパワースポットとして知られる地元の氏神「子守神社」があり、同店オーナーが管理しています。電話予約すれば祈祷も受けられます。

旧家レストランうらら亭
■住所:岩手県二戸郡一戸町岩舘字子守85
■TEL:0195-32-3551
■営業時間:11:00~20:00
■休業日:第1・3水曜日
■座席数:36席
■URL:http://uraratei.com/

〜まとめ〜

1万年以上続いた縄文時代の定住の開始・発展・成熟の過程と、そこに暮らした人々の息づかいに思いをはせる旅。いかがでしたか?今回は青森県の真ん中、青森市からスタートし、太平洋側を南下して岩手県北までのドライブコースでした。このほか青森県津軽地方や秋田県、北海道にかけて、世界遺産を構成する縄文遺跡はダイナミックに展開しています。写真ではお伝えしきれない迫力に満ちた遺跡ばかりですので、ご興味のある方はぜひ訪れてくださいね。

(文:馬場美穂子)

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Drive! NIPPON編集部

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