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投稿日:2020.10.20 Tue

戦国武将ゆかりの地を訪ねて。滋賀県の厳選歴史スポットめぐり

戦国武将ゆかりの地を訪ねて。滋賀県の厳選歴史スポットめぐり

かつて「近江国」と呼ばれていた滋賀県。京の都に近く、琵琶湖の水の利もあったことから、政治や経済の要衝でした。そのため、戦国時代には名立たる武将が滋賀県内に築城・入城しています。国宝である彦根城の天守を始め、当時の遺構が見られる史跡も多く、歴史ファンにとっては外せない地と言えるでしょう。数ある中から、今回は定番の「戦国武将ゆかりの城(城址)」をご紹介します。
(写真提供:彦根観光協会)

天下統一の拠点として織田信長が築城。往時の面影が石垣に残る「安土城址」

天下統一の拠点として織田信長が築城。往時の面影が石垣に残る「安土城址」

戦国時代で最も名高い武将と言っても過言ではない織田信長。信長は天下統一の拠点として、天正7(1579)年、標高199mの安土山に日本初と言われる天主(天守)を備えた安土城を築きました。天主は地下1階、地上6階建てで、高さ約46m。あまりにも壮大で絢爛豪華な様子に、当時のキリスト教宣教師も絶賛したと伝わっています。しかし完成からわずか3年後、天正10(1582)年の「本能寺の変」によって信長はこの世を去り、それから間もなく安土城も原因不明の出火によって焼失してしまいました。
現在は石垣や礎石、曲輪に往時の面影を残す「安土城址」。国の特別史跡となっており、大手口(虎口)、沿道に秀吉や前田利家らの邸宅があったとされる大手道、黒金門跡、信長廟がある二の丸跡、本丸跡、天主台跡などを散策することができます。
また近くには、天主5階・6階の原寸復元展示が見られる「安土城天主 信長の館」や、天主全体を20分の1スケールで再現した模型がある「安土城郭資料館」などの施設が。併せて見学することをおすすめします。
(写真提供:近江八幡観光物産協会)

■滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6371
■TEL:0748-46-6594(安土山受付)
■入山時間:8:30~17:00(最終入場受付は16:00)※季節によって変動
■入山料:大人700円、高校生以下200円
■駐車場:約150台(無料)

豊臣秀吉が城持ち大名へと出世した最初の地「長浜城(長浜歴史博物館)」

豊臣秀吉が城持ち大名へと出世した最初の地「長浜城(長浜歴史博物館)」

天正元年(1573年)、織田信長の攻略によって浅井氏が滅亡。その戦いの功労者として、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)は浅井氏の旧領地の多くを与えられました。37歳にして初めて領主となり、羽柴秀吉を名乗るようになった翌年、琵琶湖に面した「今浜」の地に築城。完成後は、地名を「長浜」と改めました。秀吉は長浜で城持ち大名に出世し、ここから天下人へと駆け上がっていったのです。
長浜城へはその後、山内一豊や内藤信成・信正などが入城。やがて、大坂の陣の後に廃城となりました。取り壊された際、その遺構は彦根城や大通寺に移築されたと言われています。
明治42(1909)年、わずかな石垣や井戸が残されていた城跡に「豊公園」が整備され、昭和58(1983)年にはその一角に、安土桃山時代の城郭を模した「長浜城」が建設されました。内部は歴史博物館として公開されており、「秀吉と長浜」をテーマとする常設展示を始め、湖北・長浜ゆかりの企画展や特別陳列を開催。最上階は展望台になっていて、琵琶湖と湖北の景色を一望することができます。
(写真提供:長浜観光協会)

■滋賀県長浜市公園町10-10
■TEL:0749-63-4611
■開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
■休館日(2020年度):11月24日(火)、12月27(日)~2021年1月2日(土)、2月8日(月)※展示替えなどによる臨時休館、閉室あり
■入館料:高校生以上410円、小・中学生200円
■駐車場:豊公園駐車場を利用(普通車は3時間以内無料)

明智光秀が築城し、本能寺の変後に落城。琵琶湖の水を引き入れた水城「坂本城」

明智光秀が築城し、本能寺の変後に落城。琵琶湖の水を引き入れた水城「坂本城」

元亀2(1571)年、比叡山焼き討ち後に織田信長の命を受け、明智光秀が築いた坂本城。延暦寺の監視や、水運の拠点とすることが目的だったと言われています。坂本城は琵琶湖畔にあり、琵琶湖から水を引き込んだ水城でした。大天守と小天守を有し、その佇まいは宣教師ルイス・フロイスの著書「日本史」で「安土城に次ぐ豪壮華麗な城」と記されたほど。しかし本能寺の変の後、秀吉軍に追われて光秀は落命。光秀の娘婿・明智秀満が火を放ち、坂本城は落城したと言われています。
現在この周辺で見られる史跡としては、二の丸跡の石碑や、明智光秀像が建立されている坂本城址公園、光秀の供養塚と言われる明智塚など。琵琶湖の渇水時に湖中に残る石垣が姿を現すことがありますが、普段はなかなか見られません。
なお、光秀と妻・熙子、明智一族の墓所がある「西教寺」が2021年2月7日まで「びわ湖大津 光秀大博覧会」の会場の一つとなっており、光秀直筆の寄進状など貴重な資料を展示しています。
(写真提供:びわ湖大津観光協会)

坂本城址公園
■滋賀県大津市下阪本3-1
■TEL:077-578-6565(坂本観光案内所)
■駐車場:坂本城跡公園駐車場 10台(無料)

初代・井伊直政に始まる彦根藩の居城。当時の天守が現存する国宝「彦根城」

初代・井伊直政に始まる彦根藩の居城。当時の天守が現存する国宝「彦根城」

「徳川四天王」の一人と呼ばれる井伊直政は、関ケ原合戦の後、石田三成の旧領を与えられて佐和山城に入りました。やがて新たな城を築く計画が持ち上がりましたが、直政は関ケ原合戦からわずか2年後の慶長7(1602)年に、戦傷がもとで死去。跡を継いだ直継・直孝によって、現在の地に彦根城が建てられ、以降、明治維新を迎えるまで井伊家の居城となりました。
明治時代になると彦根城は解体の危機に見舞われます。しかし明治天皇の勅命によって、保存されることが決定。当時の天守が現存する数少ない史跡であり、昭和27(1952)年には国宝に指定されました。
現在の彦根城は天守や天秤櫓を始め、表御殿を復元した「彦根城博物館」、井伊家の大名庭園「玄宮園」など見どころが多く、紅葉や桜の名所としても人気。紅葉の季節には玄宮園で夜間ライトアップがおこなわれ、紅葉と彦根城が織りなす景色を堪能できます。また、運が良ければ静寂の池に映る彦根城を見られるかもしれません。
ご当地キャラクターブームの火付け役とも言える「ひこにゃん」は直孝ゆかりの白猫がモデル。天守前や博物館に毎日登場しています。
(写真提供:彦根観光協会)

■滋賀県彦根市金亀町1-1
■TEL:0749-22-2742
■観覧時間:8:30~17:00
■休館日:なし
■入場料(玄宮園への入園料を含む):大人800円、小中学生200円
■駐車場:彦根城および周辺の観光駐車場(有料)を利用

【錦秋の玄宮園ライトアップ2020】
■期間:2020年11月21日(土)~12月6日(日)
■時間:18:00~21:00(入園は20:30まで)
■入園料:大人700円、小・中学生350円
※昼間の観覧券での入園は不可。

義に厚い浅井長政の居城跡。浅井三姉妹の生誕地でもある「小谷城跡」

義に厚い浅井長政の居城跡。浅井三姉妹の生誕地でもある「小谷城跡」

長浜市の小谷山にあり、浅井(あざい)家が3代にわたって居城としていた「小谷城」。その規模はじつに壮大で、日本五大山城の1つと言われています。3代目の城主・浅井長政は、「朝倉氏を独断で攻めない」ことを条件に織田信長と同盟を結び、信長の妹・お市と結婚。夫婦の間には、茶々・初・江という3人の娘が誕生しました。
しかし信長が不戦の誓いを破って朝倉の城を攻撃。長政は信長との同盟を破棄し、朝倉に加勢します。信長軍は浅井家にも攻撃の手を向け、天正元年(1573年)、激戦の末に小谷城は落城。長政はお市と三姉妹を逃がして自決し、浅井家は滅亡しました。
現在の小谷城跡は国の史跡に指定されており、自然の地形を利用した大規模な遺構から往時をしのぶことができます。中腹にある望笙峠からは、琵琶湖に浮かぶ竹生島を一望することも。
2020年11月1日~23日までの土日祝日、城跡の麓から中腹(番所跡)までシャトルバスを運行。下車後は本丸跡まで、地元の語り部ガイドが案内してくれます。また近くには、浅井家と小谷城をメインテーマとする「小谷城戦国歴史資料館」や、お市と三姉妹もたびたび参詣したという「小谷寺」など、ゆかりの史跡も点在しています。
(写真提供:長浜観光協会)

■滋賀県長浜市小谷郡上町/長浜市湖北町伊部
■TEL:0749-65-6521(長浜観光協会)

~まとめ~

このほかにも、石田三成の居城であった「佐和山城跡(彦根市)」、秀吉の甥・豊臣秀次が築城し、後に京極高次が入城した「八幡山城跡(近江八幡市)」、蒲生氏郷が生まれ育った「日野城跡/中野城跡(日野町)」など、よく知られる戦国武将のゆかりの史跡が各地に点在しています。丘陵地や山中に所在しているものが多いので、訪れる際は歩きやすい服装・靴でのお出かけを。

(文:たかはし じゅんこ)

Posted by

Drive! NIPPON編集部

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