モータージャーナリスト山田弘樹コラム「趣味に全振り! 自由なクルマ選びができるなら…」

モータージャーナリスト山田弘樹コラム「趣味に全振り! 自由なクルマ選びができるなら…」

何の制約もなくクルマ選びができることなんて恐らくないけれど、もしあったら……なんて素敵なことでしょう! ということで今回は、「趣味に全振り! 自由なクルマ選び」です。 とはいえそこは、ある程度のリアリティをもって。スポーツカーなら「フェラーリが一番!」だとか、「一生に一度はロールス・ロイスだ!」なんて、無茶なことはいいません。選んだのは誰もが一度は憧れる、「がんばれば手が届くはずだけど、なかなか踏み切れなくて…」とか、「ちょっと乗ってみたいけど、勇気がない……」なんてクルマたちばかり。そんなクルマたちの魅力をいまいちど紹介して、アナタの背中を押しちゃいます!
文・山田弘樹

世界中で信頼されるガチなオフローダー、トヨタ・ランドクルーザー 70

世界中で信頼されるガチなオフローダー、トヨタ・ランドクルーザー 70

ランドクルーザーはトヨタ自動車が世界に誇るロングセラーカーです。中南米、中東、東南アジアを中心に世界約170の国と地域で販売されており、2019年にはランドクルーザーシリーズの世界累計販売台数が1,000万台を突破。特に道路環境が厳しい地域でその信頼性と整備性、耐久性が高い評価を受けているのです。

私がお勧めしたいのはシリーズの中でも「70(ナナマル)」です。
どうして同じランクルでも、「250」や「300」じゃなくて「ナナマル」なの? それはナナマルが、呆れるほどに“ガチ”だから。

だってこのクルマ、1984年の登場以来、その姿を大きく変えていないんですよ? 車幅が1880mmに留められているのは(それでもそこそこ大きいですけどね)、世界の過酷な環境でこれを使うひとたちが、「これ以上大きくしないで!」と訴えたから。250や300で採用されているような電子制御は、ナナマルではブレーキLSDくらいですが、2.8リッターの直列4気筒ディーゼルターボと、ビヨーンと伸びるしなやかな足周りで、過酷なオフロードをグイグイ走ります。

はしご状の「ラダーフレーム」はちょっと重たいけれどメチャクチャ頑丈で、下回りを“ガン!”とぶつけてもへっちゃら。開発陣に言わせれば「10万kmなんて、慣らしが終わった程度」で、普通にメンテしていれば日本の環境ならずーっと乗れちゃいます。そんなガチさが、ランクル70をカッコよく見せるんです。

モータージャーナリスト山田弘樹コラム「趣味に全振り! 自由なクルマ選びができるなら…」

TOYOTA LAND CRUISER70(AX/ディーゼル車)
車両本体価格:¥4,800,000〜(税込)
全長×全幅×全高(mm):4,890×1,870×1,920
エンジン:直列4気筒
総排気量:2,754cc
タイヤサイズ:265/70R16
車両重量:1,110kg
燃料消費率:10.1km/L(WLTCモード)
駆動形式:四輪駆動(パートタイム4WDシステム)
乗車定員:5名
https://toyota.jp/landcruiser70/

現行型を手に入れておくべきライトウェイトスポーツ、マツダ・ロードスター

現行型を手に入れておくべきライトウェイトスポーツ、マツダ・ロードスター

全長4mを切る小ぶりなボディに、同じく小ぶりな自然吸気の直列4気筒エンジンを搭載して、後輪を駆動する。

ロータス・エランやMGーBといった英国製ライトウェイトスポーツカーを手本にして1989年に登場したロードスターは、登場から4代に渡って36年間も作り続けられ、いまや世界で最も愛されるオープンスポーツカーになりました。ロードスターの魅力は、「人馬一体」といわれる走りの気持ち良さ。最新のND型こそ車重が1トンを僅かに超えたけれど、馬力に頼らず軽さとフットワークの良さを生かして、誰もがその走りを楽しむことができます。

そんなロードスターも、実は次期型では電動化が囁かれています。たとえモーターやバッテリーを搭載してもマツダのことですから、その本質は守り抜くでしょう。とはいえシンプルにロードスターらしさを味わうなら、現行型を手に入れておくべき。個人的には2リッターの「RF」や限定車ではなく、やっぱり1.5リッターの素朴さがロードスター集大成だと思います。

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MAZDA ROADSTER(S Special Package/6MT)
車両本体価格:¥3,087,700〜(税込)
全長×全幅×全高(mm):3,915×1,735×1,235
エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ(SKYACTIV-G 1.5)
総排気量:1,496cc
タイヤサイズ:195/50R16
車両重量:1,020kg
燃料消費率:16.8km/L(WLTCモード)
駆動形式:2WD(FR)
乗車定員:2名
https://www.mazda.co.jp/cars/roadster/

純粋にこの“走り”を味わいたい人へ、FF最速のホンダ・シビック タイプR

純粋にこの“走り”を味わいたい人へ、FF最速のホンダ・シビック タイプR

Ⓒ:ドイツのニュルブルクリンク北コースの走行テストで、FFモデルで最速となる、7分44秒881のラップタイムを記録した(2023年4月時点)CIVIC TYPE R

現行FL5型のシビック タイプRに初めて乗ったとき、その走りに感激しました。自分のようなアマチュアドライバーでも、鈴鹿サーキットを安心して攻められる懐の深さ。圧倒的なボディの剛性感と、トップエンドまで力強く回りきる2リッター直列4気筒ターボの高揚感。

それを6速MTで操る走りは恐ろしくピュアで、FF版「ポルシェ911GT3」だといえます。いや、これこそが「ホンダのタイプR」なのです。

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ちなみにワタクシこのタイプRが登場したとき、「4ドア(実際は5ドアハッチバック)だから、ファミリーカーとしても使えるよ!」と奥さんを説得して、ディーラーへ試乗に行きました。そしたら「すっごく面白いけど、クラッチ重たい…。毎日使うにはアシが硬すぎない?」と怒られました(かなり省略)。

そうです、シビック タイプRを買うなら若いうちです。サイズもデカいし荷物も沢山載せられるから実用車としても使えるけれど、純粋にこの走りを味わいたいと思う人が乗るべきクルマです。その少々硬めの乗り心地とクラッチの重さを乗り越えた先に、このクルマでしか味わえない幸せが待っているのです。

モータージャーナリスト山田弘樹コラム「趣味に全振り! 自由なクルマ選びができるなら…」

HONDA CIVIC TYPE R
車両本体価格:¥4,997,300〜(税込)
全長×全幅×全高(mm):4,595×1,890×1,405
エンジン:水冷直列4気筒横置きDOHC
総排気量:1,995cc
タイヤサイズ:265/30ZR19
車両重量:1,430kg
燃料消費率:12.5km/L(WLTCモード)
駆動形式:FF
乗車定員:4名
https://www.honda.co.jp/CIVICTYPE-R/

おしゃれで頑丈! 長距離もしなやかにこなす、シトロエン・ベルランゴ

おしゃれで頑丈! 長距離もしなやかにこなす、シトロエン・ベルランゴ

ミニバンは便利だけど、オシャレじゃない。友達や家族とたくさん旅行やレジャーに行きたいから、長距離移動の楽しいクルマがいい。
そんなアナタにぜひ選んでもらいたいのがシトロエンのマルチパーパス・ビークル「ベルランゴ」。スライドドアは手動。だけどその分、故障のリスクは少ない。大きめなテールゲートも手動ですが、以下同文(笑)。

もともと商用車ベースなので国産ミニバンのように“至れり尽くせり”ではないけれど、これが長距離乗るとい~んですよ。1.5リッターの直列4気筒は300Nmの最大トルクがそこそこ以上にパワフル。8速ATのギア比も実直で、何より、ディーゼルエンジンを載せているため燃料代が安いことが大きなメリットです。

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シトロエンならではの柔らかい乗り心地ながらハンドリングは意外にシャープで、カーブではジワーッと粘ってくれます。見た目は個性的だけど、どこか愛らしい。ロングボディ(LONG MAX BlueHDi)なら、7人乗りも可能です。

輸入車が初めてだと少し勇気がいるけれど、働くクルマは基本的には頑丈。思い切って乗ってみるのは、アリ! 乗るほどに愛着が湧くこと間違いなし、の1台だと思います。

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CITROEN BERLINGO(MAX BlueHDi)
車両本体価格:¥4,390,000〜(税込)
全長×全幅×全高(mm):4,405×1,850×1,830
エンジン:直列4気筒DOHCターボディーゼル
総排気量:1,498cc
タイヤサイズ:205/60 R16
車両重量:1,600kg
燃料消費率:18.1km/L(WLTCモード)
駆動形式:FF
乗車定員:5名
https://www.citroen.jp/models/new-berlingo.html

クルマ好きなら人生で一度は乗っておきたい、ポルシェ911

クルマ好きなら人生で一度は乗っておきたい、ポルシェ911

スポーツカーが好きなら、やっぱり一度でいいから、ポルシェ911に乗って欲しい。

価格がバカみたいに高いのは、わかっています。自分も1995年式のクラシックな911(タイプ993)を決死の覚悟で手に入れて、最初は「1年維持できれば御の字!」くらいに思っていたけれど、気付けば8年の歳月が経ちました。つまりそれだけ、911は長く愛せるスポーツカーなんです。

その魅力を一言で言い表すのは難しいけれど、あえて言うとすれば、スポーツカーなのに普段使いができてしまうところ。私はこの旧いポルシェで、試乗会や撮影といった仕事先に出かけます。小ぶりだけれどカッチリとしたボディ。低速トルクがあって扱いやすく、走らせればシャーン! と金属的に吠える水平対向6気筒エンジン。フロントのトランクは実用的だし、リアシートを倒せばスーツケースだって置けます。

新しい911は高いし、古い911は高いだけでなく知識やメンテナンスの努力が必要だけれど、それでもぜひ体験して欲しい。そこにはステイタスを超えた、スポーツカー本来の素晴らしさがあります。

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Ⓒ:最後の空冷エンジンを搭載したType 993(右)と、現行モデル唯一の6MT搭載車である911カレラT(992)

911 Carrera(992)
車両本体価格:¥18,530,000〜(税込)
全長×全幅×全高(mm):4,542×1,850×1,302
エンジン:水平対向6気筒
総排気量:2,981cc
タイヤサイズ:(F)235/40 ZR19/(R)295/35 ZR20
燃料消費率:10.6-10.1km/L
駆動形式:RR
https://www.porsche.com/japan/jp/models/911/carrera-models/911-carrera/

(まとめ)

クルマがただの道具ではない私にとって、「好きなクルマを選ぶ」のはとても大切なことです。好きなクルマを走らせていると、心がウキウキして元気になります。洗車をしたり、メンテナンスをしてあげるだけで、気分がスッキリしたり、幸せな気持ちになります。だからみなさんにも、いまより少しだけ、「好き」を多めにクルマ選びをしてみて欲しいです。
自分の相棒が見つかったとき、人生はきっと豊かになると思います!

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執筆者Profile
山田弘樹
1971 年東京生まれのモータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に出場した「VW GTi CUP」を皮切りにレース活動を始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJなどのジュニアフォーミュラ、ツーリングカーではスーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、“プロのクルマ好き”をスタンスに執筆活動を行う。またレースレポートや、各種イベント、インストラクターなどの活動も行っている。

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