【石川・加賀ドライブ】伝統文化にふれ、感性を磨く旅へ（大人の秋旅Vol.4）

写真提供：石川県観光連盟

大人の秋旅Vol.4では、石川県をめぐるドライブプランをご紹介します。舞台は、370年の歴史を誇る「九谷焼」の発祥の地、加賀エリア。九谷五彩とよばれる鮮やかな色彩や大胆な意匠に代表される九谷焼は、今もなお多くの工房で受け継がれ、その技と芸術性が地域の暮らしに息づいています。本物の九谷焼に出会える美術館、伝統を色濃く残す湯の町、そして海の交易で巨万の富を築き独自の美意識を育んだ豪商の町――加賀の多彩な魅力にふれ、感性を研ぎ澄ます旅へ出かけませんか。

華麗なる九谷焼に魅せられる / KAM能美市九谷焼美術館

写真提供：石川県観光連盟

北陸自動車道「能美根上スマートIC」から車でおよそ15分、旅の始まりは九谷陶芸村にある「KAM能美市九谷焼美術館」から。
九谷陶芸村は、約370年にわたる石川県の伝統工芸、九谷焼の歴史を網羅できる場所。その村内にあるのがKAM能美市九谷焼美術館です。美術館は｜五彩館｜・｜浅蔵五十吉記念館｜・｜体験館｜・｜職人工房｜の4つの施設で構成されています。｜五彩館｜は、紺青・朱赤・紫・緑・黄の5色の絵の具を施す「九谷五彩」をイメージした５つの空間に分かれ、その色彩美を体感しながら鑑賞が楽しめます。
現代九谷の巨匠・二代浅蔵五十吉の作品を紹介する｜浅蔵五十吉記念館｜では、伝統工芸の域を超えた芸術の世界に触れることができ、｜体験館｜では～絵付けや手びねり、ろくろを用いてモノづくり体験も可能です。また九谷焼のショールームが軒を連ねる一角ではショッピングも楽しめます。

KAM能美市九谷焼美術館の詳細

住所 石川県能美市泉台町南56 　営業時間 9:00〜17:00（入館は16:30まで。｜体験館｜は15:30まで） 　定休日 月曜（祝日の場合は翌日）年末年始（12/29～1/3）、展示替えのため臨時休館の場合あり 　料金 大人：430円／75歳以上：320円／高校生以下：無料 　駐車場 有 　URL https://www.kutaniyaki.or.jp/ 　

九谷焼で供される和洋創作料理を五感で味わう/ウェルネスハウスSARAI

九谷焼を鑑賞したあとは、美術館から車で５分、和田山古墳群のふもとに佇む「ウェルネスハウスSARAI」でランチタイムを。
ここはレストラン・カフェラウンジ・スパ・宿泊施設を備えた、九谷焼をテーマとする複合施設。エントランスでは優美な九谷焼の壁画が出迎えてくれます。お目当てのレストランでは、地元産の低農薬・有機栽培の食材をたっぷりと使った、ヘルシーかつ洗練された料理を九谷焼の器で味わうことができます（九谷焼での提供は月替わりのランチ２種）。窓の外に広がるのは、九谷焼の里らしいのどかな田園風景。料理とともに、この土地ならではのひとときを楽しみましょう。食後は九谷作家の作品に囲まれたカフェラウンジで、香り高いコーヒーと手作りスイーツをいただくのもおすすめ。

ウェルネスハウスSARAIの詳細

住所 石川県能美市石子町ハ147-1 　営業時間 ランチ11:30〜14:00　ディナー17:00〜20:00（要予約） カフェラウンジ 11:00〜16:00　定休日 水曜日 　駐車場 有（84台） 　URL https://www.nomi-sarai.com/ 　

元老舗旅館別荘で加賀の美と技にふれる /加賀依緑園

ウェルネスハウスSARAIを後にし、次の目的地へ。信号のない小松バイパスを抜けると、やがて、大聖寺川の渓谷「鶴仙渓」に抱かれた山中温泉街にたどり着きます。この地に佇むのが「加賀依緑園」。創業800年の元老舗旅館「よしのや依緑園」の別荘だった建物を大規模改修し、2024年、新たな温泉街の魅力発信拠点として開かれました。
一流の職人たちによって蘇った館内は、昭和天皇が宿泊された「御殿の間」や、川端康成をはじめ多くの作家が滞在した「花月の棟」、遠州流の庭園など、見どころがたくさん。幻の工芸品とよばれる「金唐革紙」の壁、井波彫刻の粋を凝らした欄間など、随所に光る和の技巧をじっくりと見てまわりましょう。合間には庭を眺めつつ、山中塗の器で供される和菓子と抹茶で一息つくのもおすすめです。ギャラリーでは北陸三県を中心とする工芸作家の作品を展示し、購入も可能。お気に入りを持ち帰り、日常に加賀の美意識を取り入れるのも素敵です。

加賀依緑園の詳細

住所 石川県加賀市山中温泉南町ロ87番地1 　営業時間 10:00〜18:00 　定休日 木曜日（祝日の場合は営業） 　料金 一般 600円、団体（20名以上） 490円 　駐車場 有（こおろぎ橋駐車広場をご利用ください） 　URL https://kagairyokuen.jp/ 　

日本一の富豪村とよばれた豪邸街を散策/ 加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区

写真提供：石川県観光連盟

続いて、加賀依緑園から日本海へと車を走らせます。目指すのは「日本一の富豪村」と呼ばれた北前船船主の豪邸が立ち並ぶ海辺の集落。江戸から明治期にかけて北前船交易で巨万の富を築いた船主・船頭の屋敷が数多く残り、その繁栄の歴史を今に伝える町並みは、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
散策すれば、荒波をくぐりぬけた舟板を用いた壁、赤瓦屋根、北前船によって運ばれた笏谷石（しゃくだにいし）の石垣や石畳など、独特の美しい景観に出会うことができます。巨大な柱や梁をふんだんに使い、漆塗りで仕上げた贅沢なつくりの建物も一見の価値あり。海の豪商ならではの質実で豪壮な町並みが、もうひとつの加賀の美を物語ります。北前船の歴史を学べる資料館や見学できる屋敷もあり、あわせてめぐるのがおすすめです。

加賀橋立伝統的建造物群保存地区の詳細

住所 石川県加賀市橋立町 　駐車場 橋立地区開館前の駐車場を利用（無料） https://maps.app.goo.gl/tcNWaDYam6eZrRU89　URL https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/denken/2.html 　

写真提供：石川県観光連盟

白山連峰を望む湖畔の温泉へ/ 片山津温泉

写真提供：石川県観光連盟

加賀温泉郷のひとつ、片山津温泉は霊峰白山を望む柴山潟の湖畔にあります。保湿効果と保温効果に優れる湯とともに楽しみたいのが、時間や天候により“日に七度色を変える”といわれる柴山潟の景色。夕暮れには湖に浮かんでいるかのような「浮御堂」がライトアップされ、幻想的な雰囲気に。レイクビューの温泉旅館で湖の移ろう景色を眺めながら、加賀の美をめぐる旅をしめくくりませんか。

URL https://www.katayamazu-spa.or.jp/ 　

＜まとめ＞

今回ご紹介したのは、加賀伝統文化の美意識にふれるドライブルート。途中の山中温泉では、風光明媚な鶴仙渓の散策もおすすめです。大聖寺川沿いに1.3kmの遊歩道が整備され、自然美の中を歩けばドライブの疲れも癒やされます。