
夏のお出かけシーズン、家族での車旅は楽しいものですが、お子様の安全は万全でしょうか? レジャーで車の移動が増えるこの時期は、お子様の“指定席”であるチャイルドシートやジュニアシートの安全性を今一度見直す良い機会です。この記事ではチャイルドシートやジュニアシートに関する正しい知識と使用方法を解説します。
出典:e-Govポータルhttps://www.e-gov.go.jp
道路交通法 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
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目次
チャイルドシートの装着は法律で定められています

道路交通法第71条の3第3項により、自動車の運転者は、6歳未満の幼児を自動車に乗せて運転する際、チャイルドシートの使用が義務付けられています。この規定は、お子様の命を守るための非常に重要なものです。なぜなら、交通事故が発生した際、チャイルドシートを使用していない子どもの致死率は、適切に使用している子どもの約4.7倍にものぼることが報告されています。
事故と聞くと大きな衝突をイメージしがちですが、たとえ急ブレーキのような突発的な状況であっても、チャイルドシートなしでは子どもは座席に座り続けることができません。その結果、シートの金具に頭をぶつけたり、座席の下に転げ落ちたり、最悪の場合は車外に投げ出されたりしてしまう可能性もあります。大人用のシートベルトやエアバッグは、成人の体型を前提に設計されているため、体が小さいお子様には適切に機能しないだけでなく、かえって被害を大きくする危険性も。お子様を車に乗せる際は、法律で定められている通り、必ずチャイルドシートを装着し、説明書をよく読んで正しく使用することが、お子様の命を守るうえでとても大切です。
安全基準を満たしたチャイルドシートとは
お子様の安全を守るチャイルドシートを選ぶうえで、安全基準を満たしているかどうかの確認は必須です。国土交通省の安全基準に適合したチャイルドシートには、「Eマーク」が表示されているので、購入時には必ずこのマークを確認しましょう。
チャイルドシートの安全基準には、従来の「R44」に加え、新しい安全基準「R129」があります。R129はR44からさらなる安全性の向上を目指した次世代の規格であり、以下の4つの点で赤ちゃんを守るための改良が加えられています。
1. 後ろ向き装着の推奨
前面衝突に備え、赤ちゃんの体への負担を減らすため、後ろ向きでの使用が推奨されています。
2. 身長基準へ変更
従来の体重基準から身長基準に変わり、体格に合ったシート選びがしやすくなりました。
3. 側面衝突試験の追加
新たに側面からの衝突にも対応した試験が加わり、安全性が向上しました。
4. より精密な衝突試験
高性能なダミー人形を使い、衝突時の赤ちゃんへの負荷をより正確に評価できるようになりました。
身長150㎝未満はシートベルトでは不十分!年齢ではなく体格で選ぼう

チャイルドシートの装着は、6歳未満の子どもに法律で義務付けられています。しかし6歳以上であっても身長150cm未満の子どもにはチャイルドシート(ジュニアシート)の使用を推奨しています。これは、大人用のシートベルトが、身長が低い子どもには適切に機能しないためです。チャイルドシートには大きく分けて「乳児用」「幼児用」「学童用」があります。
乳児用シート(ベビーシート)
身長の目安: 40~85cm
年齢の目安: 新生児~1歳ごろ
特徴: 骨格が未発達な乳児を守るため、体全体で衝撃を受け止められるよう、後ろ向きまたは横向きに取り付ける
幼児用シート(チャイルドシート)
身長の目安: 76~105cmかつ月齢15ヵ月以上
年齢の目安: 15ヵ月~4歳ごろ
特徴: 幼児からは前向きで使用。体全体で衝撃を受け止められるよう、5点式ハーネスにより固定されるものが多い
学童用シート(ジュニアシート)
身長の目安:
・背もたれありタイプ: 100~150cm
・背もたれなしタイプ(ブースタークッション): 125~150cm
年齢の目安: 4歳ごろ~12歳ごろ
特徴: 大人用のシートベルトを使用して身体を固定。ジュニアシートによって座席の位置を高くすることで、大人用シートベルトが肩や腰骨の適切な位置にかかるように調整し、子どもの体格に合わせられる
出典:国土交通省ウェブサイト 安全な自動車に乗ろう!:自動車総合安全情報
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02safetydevice/childseat.html
チャイルドシート装着後、正しく座れていない方が約4割超!

チャイルドシートは正しく使用できていないと意味がありません。
警察庁が令和6年に実施した調査によると、使用されたチャイルドシートの30.2%は取り付け方にミスがありました。また、チャイルドシートに座っていた子どもの44.3%が正しく着座できていませんでした。
このようなミスユースは、交通事故時にチャイルドシートが機能せず、子どもがシートから飛び出すなど、本来の安全機能が発揮できなくなる可能性があります。主なミスユースの例として、乳児用・幼児用シートでは「ハーネスの締め付け不適正」や「腰ベルトの締め付け不足」、学童用シートでは「体格不適合」、「よじれ・ねじれ」など。
チャイルドシートは、お子様の身を守る大切なものです。大人用のシートベルトだと体の小さいお子様には不十分ですので、夏のお出かけ前に、今一度チャイルドシートが適切に取り付けられ、お子様が正しく着座できているかを確認しましょう。
出典:警察庁ウェブサイト child_toristuke_chakuza2024.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/img/childseat/child_toristuke_chakuza2024.pdf
100~150cmのお子様は学童用ジュニアシートを装着

学童用ジュニアシートの着用率は、お子様の成長とともに低下する傾向が見られます。
警察庁が実施した令和6年の調査によると、1~4歳のチャイルドシート使用率が80.7%であるのに対し、5歳児では57.9%と低くなっています。車両に装備されているシートベルトは、身長が約150cm以上の大人を基準に設計されています。そのため、身長が満たないお子様がそのまま大人用シートベルトを使用すると、ベルトが首にかかったり、お腹に食い込んだりしてしまい、非常に危険です。
ジュニアシートは、シートベルトが鎖骨や胸郭、骨盤など、衝撃に耐える骨格に適切にかかるように、お子様の座高を調整する役割を果たします。万が一の事故の際にもお子様の体をしっかりと拘束し、被害の軽減につながるのです。正しく装着されているか、今一度出発前に確認しましょう。
出典:警察庁ウェブサイト子供を守るチャイルドシート|警察庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html
チャイルドシートは後部座席に取り付けよう
万が一の事故時の安全性を考えると、チャイルドシートはできるだけ後部座席に設置するようにしましょう。助手席にエアバッグが搭載されている車で、チャイルドシートを助手席に後ろ向きで取り付けることは大変危険ですので、絶対にやめましょう。お子様の年齢や体格に合ったチャイルドシートを選び、説明書をよく読んで正しく取り付けることが大切です。
夏のお出かけはチャイルドシートの暑さ対策も忘れずに

夏の車内は高温になることもあるので、特にチャイルドシートで自由に身動きができないお子様にとって暑さ対策もとても大切。お子様を熱中症から守るために、チャイルドシート周辺で次のような対策を講じましょう。
日よけグッズ
後部座席への直射日光を防ぐため、走行中は窓にサンシェードやカーテンを取り付けましょう。車から離れる際も日陰の場所や屋根付きの駐車場を選び、チャイルドシート本体が熱くならないように注意します。
保冷剤や冷却ジェルパッド
チャイルドシートは熱を吸収しやすいため、保冷剤や冷却ジェルパッドをタオルなどで包んで、体の太い血管が集まる首、わきの下、脚の付け根を冷やすと効果的です。車内用の扇風機を使用すると、エアコンの冷気を効率的に後部座席まで送り込み、空気循環を改善できます。
こまめな水分補給と休憩
熱中症のサインに注意し、子供用イオン飲料、麦茶など適切に水分補給をとりましょう。また長距離の移動ではこまめに休憩もとりましょう。
汗とりパッド
赤ちゃんはとても汗っかき。特に背中や首元はチャイルドシートと密着していてムレやすく、あせもや不快感の原因になります。汗とりパッドを使うことで汗を素早く吸い取り、肌をさらっと快適に保つことができます。
(まとめ)正しくチャイルドシートを装着して安心安全ドライブへ
夏の車旅前に、チャイルドシートやジュニアシートの正しい使用を改めて確認しましょう。身長150cm未満のお子様は大人用シートベルトでは不十分です。安全基準に合ったシートを正しく装着するとともに、暑さ対策も忘れなく。家族で安心・安全なドライブを楽しみましょう!

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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