雪道で立ち往生・スタックしたときの脱出方法。安全に動けるまでの正しい手順

雪道でタイヤが空回りして動けなくなる「スタック」は、誰にでも起こりうる冬のトラブル。焦ってアクセルを踏み込むと、かえって状況が悪化してしまうことも少なくありません。この記事では、雪道で立ち往生したときの脱出手順と、無理をせず助けを呼ぶ際のポイントを解説します。ぜひ最後までお読みいただき、冬の安全なドライブに役立てください。

スタックとは？

スタックとは、雪道やぬかるみなどで車のタイヤがはまり、動けなくなってしまう現象のことです。アクセルを踏んでもタイヤは空転し、進まないので焦る気持ちが高まります。新雪や雪が少し溶けかかったシャーベット状の雪で発生しやすいトラブルの一つで、タイヤが雪や泥にはまって空転し、駆動力が路面に正しく伝わらなくなることでこの状態に陥ります。

スタックしたら、まずは落ち着いて安全確保を

雪道でスタックしてしまった場合、脱出を試みる前に、まずは落ち着いて周囲の安全を確保することが最優先です。

ハザードランプを点灯させ、後続車に自車の存在を知らせましょう。とくに、坂道やカーブといった見通しの悪い場所では、この対応が二次事故を防ぐ上で重要です。夜間であれば、非常信号灯や三角表示板もあわせて設置し、安全を確保してください。

脱出を焦ってアクセルをむやみに踏み込む「空ぶかし」も、タイヤの摩擦熱で雪が溶けてしまい、かえって状況を悪化させる可能性があるため避けるべきです。

タイヤの空転を防いで“ゆらし脱出”を試す

周囲の安全を確保したら、スタックからの脱出を試みます。最初に行いたいのは、車を前後に少しずつ動かして、踏み固めた道を作る方法です。焦って強くアクセルを踏み込むと、タイヤが空転して雪がさらに掘れてしまい、摩擦熱で雪が溶けて固まり、かえって脱出が困難になるため逆効果です。

AT車の場合は、シフトレバーを「D（ドライブ）」または「L（ロー）」に入れて前進、すぐに「R（リバース）」に切り替えて後退という動きをゆっくり繰り返します。この動きを重ねることで、タイヤ下の雪が踏み固められ、グリップしやすい足場ができます。前進、後退の幅を徐々に広げていき、タイヤが路面を捉え始めたら脱出したい方向へゆっくりとアクセルを踏んで進みましょう。

タイヤまわりの雪を掘り出す

前進後退の操作とあわせて行いたいのが、タイヤまわりや車体下にたまった雪を取り除いて、抵抗を減らす作業です。スコップやスノーブラシなどを使い、タイヤが動けるだけのスペースとして、前後1mほどを目安に雪を掻き出しましょう。このとき、路面ができるだけ平らになるように意識するのがコツです。

また見落としがちなバンパー下やタイヤハウス内、車体の腹下に詰まった雪も大きな抵抗となるため、届く範囲で取り除くと脱出しやすくなります。ただし、車が突然動く危険があるため、車体の下に潜り込むのは絶対に控えましょう。

雪を取り除いてもタイヤの下が凍結して滑りやすい場合は、駆動輪の前に脱出用のマットを敷くと、グリップ力を高められます。

人力で押すときは複数人で声を掛け合って

自力での脱出が難しい場合は、人の力を借りる方法もあります。

● 複数人で自動車を一緒に押す
● 他の車にけん引してもらう

同乗者や周囲の協力者がいる場合は、人力で車を押す方法があります。運転者と押す人が声を掛け合い、タイミングを合わせながら車を前後に押します。押す前には必ずギアを「N（ニュートラル）」に入れてください。一人で無理に車を押したり揺らしたりする行為は、転倒や車との間に挟まれたりする危険があるため、絶対にやめましょう。

また、けん引ロープを使って他の車に引っ張り上げてもらう方法もありますが、救援車は自車より重量があり、できれば四輪駆動車が理想です。軽い車でけん引すると、救援車までスタックする「共倒れ」の可能性があります。

けん引作業は、車体を傷めたり、破損する可能性もあるため、救援を頼む際はその点を相手に伝えることも大切です。作業に少しでも不安がある場合は、無理せずロードサービスを利用するのが確実で安全です。

どうしても動かないときは救援を要請

あらゆる手段を試しても脱出できない場合は、無理をせずロードサービスに救援を依頼しましょう。大雪の日は救助依頼が殺到し、到着まで時間がかかることも想定しておくことがポイントです。

暖をとるためにエンジンをかけて車内で待機する場合は、マフラーの排気口が雪で塞がれていないかこまめに確認しましょう。排気が車内に逆流すると、一酸化炭素中毒の危険があります。定期的にマフラー周辺の除雪をし、窓を少し開けて換気もしましょう。

また、長時間の待機では低体温症を防ぐために暖房は必要ですが、燃料切れにも注意が必要です。エンジンをかける時間を調整したり、防寒着や毛布を活用したりして、暖をとりながらも、燃料を節約しましょう。

（まとめ）焦らず・安全第一で行動を

雪道でスタックした際に最も重要なのは、焦らず冷静に対応し、常に安全確保を最優先に行動することです。一人で無理に車を押すといった行動は、状況を悪化させたり怪我に繋がったりする危険があるため避けましょう。自力での脱出が難しい場合は、無理せず、ロードサービスへ連絡しましょう。スタックした時のために、冬のドライブでは、スコップなどの脱出用アイテムも車に積んでおくと安心です。安全な冬のドライブに備えてください。