
災害はいつどこで起こるかわかりません。地震や台風に加え、近年では大雨や土砂災害の発生も増えています。そうした非常時には、マイカーが一時的な避難スペースとして役立つこともあります。この記事では、マイカーを活用した防災対策として、非常用品の備え、車内で安全に過ごすためのポイントを解説します。
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目次
災害時にマイカーが果たす役割

災害時の避難所生活ではプライバシーの確保が難しく、特に赤ちゃんやペットと一緒の方は周囲に気を遣いストレスを感じやすい傾向です。そのためプライベート空間が確保される車内を避難所の代わりとして利用されているケースが増えています。
実際に、平成28年の熊本地震における避難者調査では、避難先として車の中で過ごしたと回答した人が74.5%ともっとも多く、避難所で過ごしたと回答した45.3%を上回っています。また近年は車中泊のブームの影響もあり、車内にテントや寝袋などの用意をしている方が増えていることからも、車は避難先のひとつとして有効活用ができると考えられます。
出典:政府広報オンライン「車中泊避難者への支援について」
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanseikatsu/04/pdf/shiryo1.pdf
① 給電機能を利用する

DC電源(アクセサリーソケット)をAC電源(家庭用コンセント)に変換できるインバーターを接続することで、車内で一般家電の使用が可能になります。ACコンセントやUSBポートを搭載したインバーターもあり、車内でスマホ充電やLEDランタン、パソコン、電気毛布などが使用できます。
② カーナビやラジオで情報収集

停電時でも、カーナビやラジオは災害情報を入手するための重要なツールです。「インターネット」「テレビ」「ラジオ」などの媒体から、外部の情報をリアルタイムで得ることができます。カーナビやラジオを活用して情報源を確保しましょう。
③ 燃料は常に満タンを意識

災害が発生すると、停電によりガソリンスタンドでの給油が困難になったり、燃料の供給自体が停止したりする可能性があります。日常的に燃料を常に満タンに近い状態にしておくことが、非常時に備えるうえで重要です。
マイカーに備えておきたい非常用品

もしものときに長時間車内で過ごさなければならない場合、空腹、脱水症状、寒さ、トイレなどさまざまな問題に直面します。有事に備えて、これからご紹介する非常用品を家族構成に合わせて準備しておきましょう。
その際、車内の室温は季節によって大きく変わり、夏場には70℃を超える場合もあるため、通常の非常食や保存水は高温の車内環境に耐えられません。必ず「車載用防災グッズ」を用意しましょう。
① 飲料水・非常食

災害で交通のインフラが麻痺してしまった場合、しばらくの期間、水や食料を得られない場合があります。最低でも3日分の備蓄は確保しておきたいところです。備蓄は自宅だけでなく、車内にも分散して用意しておくと安心です。
ただし車内は高温多湿になりやすいため、水や非常食を備える際は注意が必要です。必ず車載用として設計された保存水や非常食を選ぶようにしましょう。
人間が必要とする水の量は、1人あたり1日約3リットルとされています。長期保存が可能な保存水で、なおかつ大きなボトルよりも500mlなど小さなボトルを選ぶと、持ち運びしやすく、用途に応じて分けて使えるのでおすすめです。
② 暑さ・寒さ対策グッズ

冬場や車中泊の際、体温を守るために毛布や防寒具は必須です。車載用防災セットには「ハイブリッドレスキューシート」や「圧縮ブランケット」が含まれる場合もあります。保温性が高くコンパクトに収納できる寝袋(シュラフ)や、寒さ対策に銀マットを用意も効果的です。
また暑さ対策グッズもあわせて用意しておくと安心です。日よけのカーテンやサンシェード、汗拭き用のタオルなども用意しておきましょう。
③ 手回し式充電器

災害時の困りごととして、スマートフォンの充電切れがあげられます。充電が切れは家族との連絡や情報収集ができなくなることに直結します。スマートフォンの充電や明かりを付けるための電力は、車のシガーソケットから供給もできますが、エンジンをかけずにACC状態で長時間使用するとバッテリーが上がってしまう危険性があるので注意が必要です。
そんな時に重宝するのが、手回し式充電器。近頃はラジオやライトも備わっているタイプもあります。また、太陽光があればいつでも充電可能なソーラー充電器なども選択肢として考えられます。
④ 簡易トイレ・ウェットティッシュ

車内避難や断水時に備え、簡易トイレは必須アイテムです。特に女性や高齢者は、トイレの心配から水分摂取を控える傾向があり、エコノミークラス症候群を発症しやすくなるため、簡易トイレの準備は重要です。
車載用防災セットには目かくしポンチョや簡易トイレキットなども含まれているものもあります。また、タオルや古着も窓の目隠しとして利用できます。体を拭くためのシートや除菌シート、汗拭きシートといった衛生用品の用意もあると良いでしょう。
⑤ 懐中電灯・ランタン

夜間や停電時の行動には明かりが欠かせません。夜間に車外へ出る際にも役立ちます。手回し式充電器と一体になったものも便利です。懐中電灯は極力電池を消耗させないよう、使用時以外は電池を抜いて常備するのがおすすめです。
上記以外にも、災害時に役立つグッズとして、万が一の怪我に備えた簡易救急セットや常備薬があると良いでしょうか。その他、脱出困難時に居場所を知らせるホイッスル、危険物を触る際に役立つ軍手、車内に閉じ込められた際に窓を割るための脱出ハンマーも用意しておくと安心です。
さらに防寒や雨除けにも使用できる大きめのゴミ袋、水分補給用の折り畳み式水タンク、車中泊時の体への負担を軽減する折り畳み式マットなどの用意もおすすめです。
車内避難時の注意点

災害時に車中避難をする場合、エコノミークラス症候群を予防することも大切です。エコノミークラス症候群は、水分や食事を十分にとらず、車の座席に長時間座り足を動かさないと、血行不良により血栓ができやすくなります。その結果、肺に詰まると急に息ができなくなる症状を引き起こします。予防のためには、以下の3点を心がけましょう。
● 足の運動:足首の曲げ伸ばしやふくらはぎのマッサージ、車の外に出て歩く、軽く体操を行う
● 水分補給:十分な水分を摂取する
● 休息環境:寝るときは座席をフラットにし、手足を伸ばせるようにする。タオルなどを座席の隙間に詰めて平らにすることも有効
また、エンジンを長時間稼働させる際は、一酸化炭素中毒に注意が必要です。特に冬場に雪が降っている場合、積雪が排気口(マフラー)をふさぎ、排気ガスが車内に入ってくる危険性があります。またエアコンをつけっぱなしにするとガソリンを消耗し、バッテリーが上がる可能性もあります。エンジンを切って過ごせるように、ポータブル電源を活用したり、冬場は寝袋や毛布で身体を温めるものを用意するなど工夫しましょう。
(まとめ)日常からの備えが非常時に力を発揮
マイカーは、災害時において移動、情報収集、電力供給、そしてプライベートな休息スペースとしての役割を果たす、非常に頼れる存在です。災害はいつどこで巻き込まれるか分かりません。特に通勤や通学で日常的に車を使う人、ペットや小さい子どもがいる人など、車中避難を選択する可能性が高い人は、防災グッズの準備が必須といえます。非常用品の準備を整えたら、愛車のバッテリーやタイヤなどの定期的に点検しておきましょう。日頃からの小さな備えと、マイカーの有効活用することが、もしものときに家族と自分自身を守る力になります。

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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