
冬の安全運転には欠かせない、スタッドレスタイヤ。性能や価格などその種類はさまざまで、ご自身の車や運転スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。また、交換した夏タイヤは正しく保管すれば、次のシーズンも安心して使用できます。この記事では、スタッドレスタイヤの選び方のポイントと、夏タイヤを長持ちさせる正しい保管方法について解説します。この記事で紹介するポイントを参考に、冬の安全なドライブに備えましょう。
TABLE OF CONTENTS
目次
スタッドレスタイヤの必要性

雪が積もったり凍結した道路を夏用タイヤで走行すると、スリップ事故などの危険性が高まります。国土交通省の資料でも、冬用タイヤを装着していない車が登坂不能になることで、大規模な立ち往生や渋滞を引き起こす原因になると警告されています。
夏用タイヤに対して、スタッドレスタイヤは、低温でも硬くならない柔らかなゴムと、グリップ力を高める特殊な溝を備えています。これらの特徴によって、積雪路や凍結路でも安全な走行が可能です。冬の道路では、法令や条例によって冬用タイヤの装着が義務付けられている地域もあります。ご自身や周囲の安全を守るためにも、冬期にはスタッドレスタイヤへ交換しましょう。
出典:国土交通省「雪道は冬用タイヤで走行しましょう」
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/00001_01178.html
スタッドレスタイヤの選び方

ご自身の車や普段走行する環境に合ったスタッドレスタイヤを選ぶことが大切です。ここでは、スタッドレスタイヤを選ぶ際の4つのポイントを紹介します。
● タイヤのサイズは適合しているか
● 氷上性能と雪上性能は走行環境に合っているか
● 製造年は新しく、ゴムは柔らかいか
● メーカー保証や価格は妥当か
これらのポイントが重要な理由を解説します。
①タイヤのサイズは適合しているか

スタッドレスタイヤを選ぶ際には、まずは愛車に適合する正しいサイズを知ることが大切です。タイヤのサイズは、現在装着しているタイヤの側面「サイドウォール」で確認できます。「205/55R16 91V」のように表記されているので、これをメモしておきましょう。あわせて、車の取扱説明書や運転席ドアの内側に貼られたラベルで、メーカーが推奨する「純正サイズ」も確認しておくとより確実です。
タイヤ交換では、この純正サイズを基準に選ぶことがポイント。純正タイヤは、その車の重量や走行性能を考慮して最適なものが選ばれています。特に、タイヤが支えられる重さを示す「ロードインデックス」(上記例では「91」)は、純正タイヤと同等以上のものを選ばないと、タイヤの損傷や事故に繋がる危険性があるため注意しましょう。
②氷上性能と雪上性能は走行環境に合っているか

スタッドレスタイヤは製品によって、得意とする路面状況が異なり、主に以下の2つのタイプに分けられます。
● 凍結路(アイスバーン)に強い「氷上性能」重視タイプ
● 積雪路に強い「雪上性能」重視タイプ
「氷上性能」を重視したタイヤは、滑りの原因となる氷表面の水の膜を取り除き、氷面に密着させるため、非常に柔らかいゴムで作られています。また、「サイプ」と呼ばれる細かい切り込みが多く刻まれており、この角が氷を引っかくことで滑りを防ぎます。
一方、新雪や圧雪路に強い「雪上性能」を重視したタイヤは、太く深い溝が特徴です。この溝が雪をしっかり掴んで踏み固め、雪を掻き分けて前に進む力(雪柱せん断力)を生み出します。
都市部のように凍結路が多いのか、山間部のように積雪が多いのかなど、ご自身の利用環境に合わせて最適な性能のタイヤを選ぶことが、冬の安全運転に繋がります。
③製造年は新しく、ゴムは柔らかいか

スタッドレスタイヤを選ぶ際は、できるだけ製造年が新しいものを選ぶこともポイントのひとつ。スタッドレスタイヤのグリップ力は、低温でも硬くならない特殊なゴムの柔らかさによって保たれています。しかし、その特殊なゴムも時間とともに徐々に硬化し、本来の性能が低下してしまいます。
タイヤの製造年は、側面に刻印された4桁の数字で確認できます。末尾2桁が「製造年」、最初の2桁が「製造週」です。例えば「0524」とあれば、「2024年の5週目」に製造されたタイヤだと分かるので、購入時にはその製造年を確認しましょう。なお、使用開始から5年以上経過したタイヤは、見た目に問題がなくてもゴムの硬化が進んでいる可能性があるため、カー用品店やディーラーなどで点検してもらうのがおすすめです。
④メーカー保証や価格は妥当か

スタッドレスタイヤを選ぶ際は、価格だけでなく、「品質」の確認と「保証」があるかを確認するといいでしょう。品質管理が徹底された信頼できる店舗で購入すれば、製造時の性能が維持されたタイヤを手に入れられて安心です。
また、メーカーや販売店によっては、「タイヤのパンク補償」などの独自のサービスを提供している場合があります。こうした保証があれば、購入後の思わぬトラブルにも対応できるため心強いでしょう。
タイヤ交換のタイミング

スタッドレスタイヤへの交換は、初雪の予報が出る前に、早めに行うのが安心です。一般的に、外気温が7℃以下になると夏タイヤはゴムが硬くなり始め、本来の性能を発揮しにくくなると言われています。
また、降雪のニュースが出ると、多くの人が一斉にタイヤ交換に駆け込むため、カー用品店やディーラーは大変混雑します。いざという時に「予約が取れない」「希望のタイヤが売り切れている」といった事態を避けるためにも、10月~11月頃を目安に、余裕を持って計画的に交換を済ませておきましょう。
夏タイヤの正しい保管方法

交換後の夏タイヤは、保管状態によって寿命が大きく変わります。タイヤはデリケートなゴム製品のため、不適切な環境では劣化が進んでしまいます。次のシーズンも安全に使うために、以下のポイントを押さえて正しく保管しましょう。
● 直射日光を避ける
● 湿気の少ない場所を選ぶ
● 地面に直接置かない
● タイヤカバーで保護する
それぞれの詳細を解説します。
①直射日光を避ける
タイヤの主成分であるゴムは、紫外線や熱に非常に弱い性質を持っています。直射日光が当たる場所に長期間保管すると、紫外線によってゴムが硬化し、ひび割れなどの劣化が進んでしまいます。また、ストーブなど熱源の近くも、ゴムの変質を引き起こす原因となるため危険です。タイヤを保管する際は、屋内のガレージや物置、または屋外でも日が当たらない場所を選ぶことが、タイヤを長持ちさせるためのコツです。
②湿気の少ない場所を選ぶ
湿気もタイヤの劣化を早める原因の一つです。雨水が当たる場所はもちろん、湿度が高い場所に保管すると、ホイールが錆びたり、ゴムにカビが発生したりする恐れがあります。特に、保管前にタイヤを洗浄した場合は、水分が残らないように風通しの良い場所で完全に乾かすことが重要です。濡れたままカバーをかけると内部に湿気がこもり、かえって劣化を早めてしまいます。結露しにくい、風通しの良い場所で保管しましょう。
③地面に直接置かない
タイヤを保管する際は、地面に直接置かないこともポイントです。タイヤのゴムに含まれる薬品が床面ににじみ出て、床を汚したり変色させたりする可能性があります。保管する際は、すのこや厚手の段ボールなどを下に敷くのがおすすめです。また、ホイールが付いている場合は、空気圧を適正値の半分程度に下げて横積みで保管します。一方、ホイールが付いていないタイヤを横向きに積むと、重みで変形することがあるため、縦置きで保管し、定期的に接地面をずらすとよいでしょう。
④タイヤカバーで保護する
タイヤを保管する際は、専用のタイヤカバーをかけて保護することも大切です。カバーをかけることで、ホコリやゴミ、油分などが付着するのを防ぎ、不意の雨水や紫外線からもタイヤを守れます。また、タイヤ内部に水や異物が入り込むのを防ぐためにもカバーは有効です。ただし、タイヤが濡れたままカバーをすると湿気がこもるため、必ず完全に乾かしてから使用しましょう。
(まとめ)冬も夏もタイヤ管理が安全ドライブのカギ
冬の安全運転のためには、ご自身の車や走行環境に合ったスタッドレスタイヤを正しく選ぶことが重要です。そして、交換した夏タイヤも、ポイントを押さえて適切に保管することで、劣化を防ぐことができ、次のシーズンも安心して使用できます。
タイヤは、ご自身や大切なご家族の安全を守るための重要な部品ですので、日頃から空気圧や摩耗状態などを点検する習慣を身に付け、安全にドライブを楽しみましょう。

Posted by
Drive! NIPPON編集部
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