
免許を取ると、最初は親のクルマで運転に慣れるという人も多いでしょう。でもいずれ、親のクルマを卒業して、自分で好きなクルマを手に入れる時がやってきます。“自分で初めて自分のクルマを買う”――それは一生に一度だけの、心ときめく体験です。そんなファーストカーにおすすめしたい5台を集めてみました。
文・山田弘樹
TABLE OF CONTENTS
目次
若いうちにスポーツカーに乗っておきたい、トヨタ「GR86」・スバル「BRZ」

ⒸTOYOTA GR86
やっぱり若いうちに、ぜひスポーツカーに乗って欲しい!
私の推しはずばり「トヨタ GR86」と「スバル BRZ」の2台です。この2台はエンジンとシャシーを共用する兄弟車です。
235馬力を発揮する2.4L水平対向4気筒は適度にパンチが効いていて、自然吸気だから吹け上がりがとても素直。向かい合うシリンダー同士が振動を打ち消し合うボクサーエンジンのフィーリングも個性的。
そして何より、このスペックを後輪駆動、しかも6MTで操れて、400万円以下で買える新車なんて世界中見渡しても他にはありません。本音を言えば新車である必要なんて全然なくて、中古の先代2リッター(ZN6)で、リクツ抜きにたくさん走って欲しいくらいです。
グイグイ曲がる楽しさを味わいたいならGR86、運転しやすさを重視するならスバルBRZかな。初めてのスポーツカーとして選ぶなら、この2台は文句なしの選択です。

ⒸSUBARU BRZ
TOYOTA GR86
車両本体価格:¥3,195,000〜(SZ/6MT、税込)
全長×全幅×全高(mm):4,265×1,775×1,310
エンジン:⽔平対向4気筒
総排気量:2,387cc
タイヤサイズ:215/45R17
燃料消費率(WLTCモード):12.0km/L
駆動形式:FR
乗車定員:4名
https://toyota.jp/gr86/
SUBARU BRZ
車両本体価格:¥3,322,000〜(R/6MT、税込)
*諸元はGR86と同じ
https://www.subaru.jp/brz/
コンパクトで実用的なマツダ「CX-3」、好みで選べるディーゼルとガソリンモデル

コンパクトながらも高い実用性を備えるクロスオーバーボディに、美しいデザインを与えたCX-3は、登場から10年経った今でも魅力的な1台です。その乗り味はライバルたちと較べて、ちょっと硬めでドイツ車的。またハンドリングも、マツダらしくキビキビとしています。
エンジンは、料代の安さや燃費性能の良さ、低速から力強くて運転しやすい1.8L直列4気筒ディーゼルターボが人気。だけれど1.5L直列4気筒ガソリンエンジンとの価格差は最大で50万円以上にもなります。ガソリンエンジンはエンジンそのものが軽くてハンドリングが良くなるだけでなく、高回転まで気持ちよく回って力を出すタイプです。
日本は軽油の値段が安いので、海外のように長距離移動を沢山したければディーゼル、普段乗りが多ければレギュラーガソリンモデルという選び方も当てはまりません。だから、まずはどちらが好きか乗り比べを。またそのハンドリングと合わせて、なかなかの運動性能を持っている4WDモデルもお勧めです。

MAZDA CX-3
車両本体価格:¥2,279,200〜(X、税込)
全長×全幅×全高(mm):4,275×1,765×1,550
エンジン:SKYACTIV-G1.5(水冷直列4気筒DOHC16バルブ)
総排気量:1,496cc
タイヤサイズ:215/60R16
燃料消費率(WLTCモード):17.0km/L
駆動形式:FF
乗車定員:5名
https://www.mazda.co.jp/cars/cx-3/
今どきガソリンモデルのみの割り切りが素敵なホンダ「WR-V」

CX-3と同じBセグメントのコンパクトSUVでお勧めしたいもう1台が、ホンダ「WR-V」です。“ハイブリッドが欲しいならベゼルをどうぞ”という割り切りからガソリンモデルしかラインナップされていませんが、その分、価格をグッと抑えているのがまず魅力的。そしてこの1.5L直列4気筒エンジンが、さすがホンダ! と言いたくなるほど、気持ち良く回るんです!
乗り心地は少し硬めだけれど、ボディは頑丈。パワステもちょっと重めだけれど、カーブもビシッと走れます。この質実剛健でたくましい感じが、SUVのキャラクターに合っています。さらに特筆したいのは、車幅感覚がとってもつかみやすいこと。
両脇が切り立ったボンネットのおかげで、狭い道もスイスイです。SUVなのにシートが立っていないから、着座姿勢も自然。ペダルを踏み下ろさないで済むから、長距離移動でも足が疲れません。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が全車速追従式ではないので、渋滞時にこれを使えないのはちょっと悩ましいけれど、若者ならダイジョブだよね?
HONDA WR-V
車両本体価格:¥2,149,400〜(15S Touring、税込)
全長×全幅×全高(mm):4,325×1,790×1,650
エンジン:水冷直列4気筒横置
総排気量:1,496cc
タイヤサイズ:215/60R16
燃料消費率(WLTCモード):16.4km/L
駆動形式:FF
乗車定員:5名
https://www.honda.co.jp/WR-V/
みんな大好き王道SUV! スバル「フォレスター」

ちょっと気合いの入ったクルマ選びができるなら、ミドルサイズの王道SUV、新型フォレスターを選ぼう。もっとも話題になっているのは2.5L水平対向エンジンがベースとなる「S:HEV」(ストロングハイブリッド)モデルですが、若い人にはモーターアシストの滑らかさや静粛性よりも、走りが楽しい「SPORT」を推します。
その魅力はまず、1.8L水平対向4気筒ターボの爽快感。瞬発的な加速力はハイブリッドの「S:HEV」の方が良いけれど、ボクサーエンジンならではの気持ち良さ味わうなら断然ターボです。そしてこの躍動感に、車体の軽さとハンドリングのシャープさ、そして4WD制御のスポーティさがとってもマッチしています。
「S:HEV」の18.8km/ℓという燃費は魅力的で、かつ「SPORT」と価格差もあまりないのだけれど、それでも「SPORT」の方が少しリーズナブルです。その価格差を利用して、オプションでアイサイトXを付けるのも良いでしょう。
SUBARU FORESTER
車両本体価格:¥4,048,000〜(SPORT、税込)
全長×全幅×全高(mm):4,655×1,830×1,730
エンジン:1.8L DOHC 16バルブ デュアルAVCS直噴ターボ “DIT”
総排気量:1,795cc
タイヤサイズ:225/55R18
燃料消費率(WLTCモード):13.6km/L
駆動形式:AWD(常時全輪駆動)
乗車定員:5名
https://www.subaru.jp/forester/
若いウチに味わっておきたい大衆車のベンチマーク、VWゴルフ TDI

ⒸGolf eTSI R-Line
輸入車まで視野を広げて愛車選びがしてもらえるなら、ぜひフォルクスワーゲン(VW)のゴルフに乗って欲しい。理由はやっぱり、ゴルフが世界のベンチマークとなるハッチバックだから。
コンパクトな5ドアハッチバックボディは、人も荷物も沢山詰めます。流行りを考えればゴルフのコンパクトSUV版となる「T-Roc」だけれど、まずは若いうちに、重心が低く、どっしりとしたゴルフの質感を味わってみて欲しい。人生、変わりますよ!
お勧めは、「TDI」グレードです。ガソリンモデルよりもちょっと重たい2.0L直列4気筒ディーゼルターボをフロントに搭載するTDIの乗り味は大人びていて、長距離移動も抜群に快適。ちなみに燃費は20.8km/L(WLTC値)ですが、私がエコランしたときは29km/Lをマークしました。15~18Km/Lは、普通に狙えます。ちょっと高めだけれど、長く愛せる1台になると思います。

VW Golf TDI
車両本体価格:¥4,160,070(7DSG Active Basic、税込)
全長×全幅×全高(mm):4,295×1,790×1,475
エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ(4バルブ)
総排気量:1,968cc
タイヤサイズ:225/45 R17
燃料消費率(WLTCモード):20.8km/L
駆動形式:2WD
乗車定員:5名
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golf.html
どこまで冒険できるのか? ドキドキわくわくしながら探そう!
初めて自分のクルマを手に入れたときの感激は、今でも忘れません。私は古いカローラの中古車でしたが、まるで自分の部屋がもうひとつできたかのような気持ちになったことを、いまでも覚えています。しかも、動く部屋です(笑)。
だから今回は、実用性も大切だけれどワクワクできるクルマたちを選んでみました。入門編の買いやすいクルマだけでなく、ちょっと高めなチョイスもしたけれど、いまは中古車だけでなくサブスクなど、色々な方法でクルマを手に入れる時代だから、賢く選んでみてください。
でも一番大切なのは、自分が“ピン!”と来たクルマに乗ることです。若いからこそ冒険ができるし、本当に欲しいものを手に入れた方が結果的に長く乗れたり、悔いが残りません。どこまで冒険できるのかにもドキドキ・ワクワクしながら、ファーストカーを探してくださいね!

執筆者Profile
山田弘樹
1971 年東京生まれのモータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に出場した「VW GTi CUP」を皮切りにレース活動を始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJなどのジュニアフォーミュラ、ツーリングカーではスーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、“プロのクルマ好き”をスタンスに執筆活動を行う。またレースレポートや、各種イベント、インストラクターなどの活動も行っている。
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