
※ 掲載記事に関して
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、紹介する施設によっては営業時間の変更や休業、イベントの延期・中止が生じる場合があります。また、情報は記事掲載時点のものです。お出かけの際は、事前にHPなどで詳細をご確認ください。
みなさん、朝はパン派?ごはん派?
一日のスタートを切るための大切な食事ですから、好きなモノを食べて気分を上げたいですよね!
我々愛知県民、とりわけナゴヤの人が愛してやまない朝食メニュー。それはずばり「小倉トースト」です。
とろけるバターに甘い小倉あんが絡んで、塩味と甘みが互いに引き立て合った至福の味わいなのです。
これがまた、コーヒーの苦味と合う!
愛知では言わずと知れた有名喫茶店「コメダ珈琲」をはじめ、街の小さな喫茶店から大型カフェまで、名古屋や名古屋以北では比較的多くの店が提供しているこの小倉トースト。
もちろん、小倉あんとバターがあれば自宅でも塗るだけで作れます。
ちょっと細かい話をすれば、写真のようにバタートーストに小倉あんが乗っているタイプのものの他に、バタートーストとは別でトッピングの小倉あんが付いてくるタイプ、食パンで小倉あんを挟んだサンドイッチタイプがあり、各店で異なるのもおもしろいところ。
前述した「コメダ珈琲」が関東や関西など全国に店舗展開したこともあり、今や愛知県民と言わず日本国民全体に(?)認知されつつあるこの小倉トーストですが、今回はこんなストーリーをご紹介します。
一説によると、小倉トーストが誕生したのは大正時代。名古屋市中区にあった甘味喫茶「満つ葉」(まつば)が発祥だとされています。学生客がぜんざいにトーストを浸して食べていたのを店主が見かけ、これは美味しそうだ、ハイカラだということでメニューとして考案したのだそうです。
さらに、もともと名古屋は茶の湯の文化が色濃く残っていたため、古くからあずきを使ったお菓子に馴染みがある人が多くいました。
そういった理由から、トーストに小倉あんがのっていてもなんの違和感もなく定着。むしろ大歓迎され、多くの店で取り扱うようになったと言われています。
そんなわけで、ナゴヤの人が朝から溺愛する小倉トーストですが、「名古屋の朝食」といえばこの話をしておかねばなりません。
それが「モーニング」という食文化。朝、喫茶店でドリンクを注文するとゆで卵やトーストなどが無料でついてくるという、お得なサービスです。
店によっては、サラダやソーセージ、スープ、さらには焼きそばやハンバーグ、カレーなんかもついてきたりして、朝からお腹いっぱい。いやもう、そもそも朝ごはんのレベルじゃない!
トーストだってバリエーション豊か。先ほどご紹介した小倉トーストはもちろん、自家製ジャムやマーマレード、バニラアイスが添えられていたり、ピザやホットドッグに変更できたり。なんならおにぎりやうどん、味噌汁と、もはやなんでもあり!各店の趣向を凝らした豪華なメニューが揃います。
他県の方をモーニングにご招待すると、「コーヒー頼んだだけでこんなについてくるんだ……」と必ず驚かれます。
ええ、私たち愛知県民も思いますよ。「ドリンク代だけでそんなにつけちゃって大丈夫なの?」「なんでこんなに盛りだくさんなの?」と。
実はこの「モーニング」にも奥深い歴史があったのです。
「モーニング」の文化は名古屋市の北にある一宮(いちのみや)市で生まれたと言われています。
一宮市は古くから「繊維の町」として栄え、特に全盛期だった昭和30年代ごろには朝早くから夜遅くまで織物工場の機械が大きな音で稼動していました。
そんな環境でしたから、会社では商談や打ち合わせなどができず、機屋(はたや)さんたちは近所の喫茶店を利用していたそうです。
会議室・応接室代わりに利用された喫茶店は、どんどん売り上げが上がる一方。
そこで「この恩恵をなんとか常連さんに還元できないか」と考えて始めたのが、コーヒーにおまけをつける「モーニング」だったのです。
最初は、コーヒーにゆで卵とピーナッツをつけるだけでしたが、愛知県は業務用の製パンメーカーも多くあったことから、やがてトーストもセットに。
こうして、競うように個性的なサービスを行うようになり、名古屋の食文化として確立していったのです。
いかがでしたか?「小倉トースト」に「モーニング」。名古屋の朝に歴史あり!ですよね。
みなさんも愛知を訪れたら、喫茶店の個性的なモーニングを堪能してみませんか?
もちろんご自宅でも気軽に楽しんでみてくださいね!

Posted by
光田さやか
料理と着物をこよなく愛する愛知県在住のフリーライター。ジャンルはグルメ全般、ライフスタイル、ビジネス、子育て、美容、農業、和文化、温泉、地域促進など。趣味は、旅先で一筆箋とご当地調味料を買うこと。