【静岡県】天然のうまみ調味料として大活躍!西伊豆の伝統食「潮かつお」

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西伊豆の伝統的な保存食「潮かつお (塩鰹) 」をご存知でしょうか?賀茂郡西伊豆町田子で江戸時代から作り続けられている、鰹の乾干し塩蔵品 (鰹の塩漬け) です。
県内でも知る人ぞ知る地場産品でしたが、地元の人々の地道な努力によってテレビなどで取り上げられるようになり、全国的に知られるようになってきました。

田子港は、かつて良質の鰹がたくさん水揚げされ、焼津にならぶ鰹節の名産地として栄えた漁師町でした。毎年11月頃になると、鰹を丸ごと塩に漬け込み、海から吹く季節風で自然乾燥させて潮かつおを作ります。完成した潮かつおは正月に神棚へお供えし、三が日が過ぎると神棚からおろして、みんなに振る舞います。「正月魚 (しょうがつうお・しょうがつよ) 」と呼ばれ、縁起物やお供え物として、古来からこの地で伝承されてきました。
現代では減塩志向ということもあり生産量が減少。製造会社は3軒しか残っていませんが、今も手作りで一本一本丁寧に作られています。
基本は薄切りにして焼き、お酒のアテやお茶漬けの具、お吸い物、酢の物などにしていただきます。とても塩辛いため、そのままでは食べにくいのですが、塩辛さのなかから滲み出る独特の旨みが「だし」の代わりになり、天然の「うまみ調味料」として料理を引き立ててくれます。チャーハンやパスタ、卵かけご飯、炒め物やスープの隠し味など、普段のお料理にも手軽に使うことができるんですよ。
潮かつお丸ごと1本でも販売されていますが、半生切身の真空パックやフレークタイプのほか、ふりかけやお茶漬けの素など、お土産として気軽に購入できる加工品もあります。

2017年には『東海・北陸B-1グランプリ』で、潮かつおの焼身を使った釜玉うどん風の「西伊豆しおかつおうどん」が最高賞のゴールドグランプリを獲得。西伊豆地区のほか、三島や沼津でも食べられるお店が増え、ラーメンやそばめしなどに進化したメニューも爆誕しているとか。
西伊豆を代表するご当地名物はもちろん、近い将来、どの家庭にも置いてあるスタンダードな調味料になるかもしれません…!?

Posted by

小林紀子 Kiko Kobayashi

東京の音楽系編集プロダクションの編集者を経て、Uターン後、フリーライターとして地元新聞社の書籍や雑誌などを中心に、取材・執筆・撮影で携わる。静岡県東部・伊豆・箱根地区で行ってきた取材件数は2,000件を突破。現在は熱海市を拠点に、地域情報サイトの運営のほか、Webサイトや雑誌へ記事・エッセイを寄稿している。

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