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隅田川や支流の水路。軒先にぎっしり並んだ植木鉢。お祭りや縁日の熱気。ちょっと“近め”のご近所づきあい…。東京都東部エリア、江東区に引っ越したとき、色濃く残る下町の情緒にビックリ。「同じ東京でも、地域によってこんなに違うんだ」と感動し、魅了されました。そのころ初めて出合ったのが「深川めし」。アサリを使った、江戸時代から愛されるご当地どんぶりです。
「深川めし」のルーツは、漁師のまかないめしとされています。今の江東区永代、佐賀あたりには潮が引くと現れる砂州があって、たくさんの貝類がとれ漁も盛んでした。漁師たちは忙しい仕事の合間に、船上で煮た貝の汁を冷や飯にかけるなどしてお腹を満たしていたのです。一方、一般の家庭でも「炊き込みご飯」が広く普及。新鮮なアサリが安価で手に入る深川ならではの“お袋の味”となりました。
現在でも「深川めし」といえば、「ぶっかけめし」と「炊き込みご飯」の主に2タイプ。味はしょうゆ仕立て、味噌仕立てなど、お店や家庭によってそれぞれです。最近では、あんかけやミルク入りなど、新感覚のオリジナルも登場しているとか。
ちなみに私は、かつては断然「ぶっかけめし」派。ごはんに甘辛い汁を多めにかけながら、わざとガツガツかっこむのを、“粋 (いき) ”に感じていました。時流れて、今は迷わず「炊き込みご飯」派。ふっくらしたアサリの香りとうまみを味わうのが気分です。
どちらを選ぶかはお好み次第。ただ、いずれもついつい箸がすすんでしまうので、気づいたら動けないくらいお腹いっぱいになりますよ。
「深川めし」は江戸に通じる伝統と情緒が何よりもの隠し味。家で作ってみるのもいいですが、一度は東京・下町エリアの散策とともに、現地で味わってみてくださいね。
(取材協力/ 深川めし振興協議会)

Posted by
向山 奈央子
女性向け生活情報紙編集部を経て独立。企画、ライター、講師の3本柱で活動。2020年の東京が楽しみですが、古き良き街の風景もこよなく愛しています!