VOL.36 市民が「まち自慢」できる甲府市へ~挑戦はまだまだ続きます!

 平成27年5月にデンソーコミュニケーションズ取締役より、国内観光旅行情報サイト開設にあたり、B-1グランプリでゴールドグランプリを受賞した団体の代表者から見た、各地域の地域創生事情をコラムで寄稿してもらいたいと依頼された縁から、平成27年8月号からお世話になりました本コラムも今月号で最終回となります。

 平成20年6月、一市民として甲府を愛する仲間たちとまちづくり活動を始めてから早10年が過ぎています。
 なにしろ嫌いだったのが、わざわざ訪れてくれた方々に山梨県民・甲府市民が放つ「なんでこんなまちに来たの」、「ここには何にもない」という耳障りな言葉。東京などの大都市に対する劣等感が強く、それと比較して自分のまちは全然駄目だと自信と誇りを失い、元気がなくなっている市民性をなんとかしたいという強い思いがありました。

 地方都市がやるべきこと、いや、やらなくてはならないことは、東京などの大都市に追い付こうとすることではありません。そんなことでは中途半端に画一化されてしまい、むしろ地域の魅力を失うことになりかねない。それこそ灯台下暗しです。大切なのは、自らの地域をもう一度見直して、その魅力を再発見し、発掘された地域資源をさらに高めて、他の地域との差別化を図ること。そこに可能性が見出されてくるのです。

 また、まちづくりのためには、一緒に活動をする‘人’がいなければ始まりません。
 筆者の活動の2つの柱である「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」は、活動当初より甲府市職員が中心。また「甲府ん!路地横丁楽会」は、とりもつ隊での実績を踏まえ、地域のいろんな方々にご参加いただいております。両活動とも比較的‘人’に恵まれていたと思います。

 多くの地域の皆様方と同じ方向を向いて進んでいけるよう、さらなる‘人’を呼び込もうとしたとき、筆者がはじめに着目したのが大学生でした。
 未来を担う若者に早いうちから、自らが発案したことをやり遂げて達成感を得る経験をしてほしかった。失敗したってよいのです、その悔しさを覚えていればスキルは間違いなく上がるのですから。
 ‘人’の成長に一番必要なのは「高みを目指すこと」です。なぜなら筆者自身も、それにより大変成長することができた実験台みたいなものですから(笑)。

 そして今後、まちづくり活動への参画を呼び掛けていきたいのが、現在の日本の礎を築いたシニア世代です。

 人口減少、少子高齢化が加速度的に進展している状況の中で、減り続ける生産年齢人口。社会を動かす担い手が確実に減っていく中で、いかに社会の活力を維持していくのかが課題であります。

 くしくも甲府市は全国より3年も早いスピードで高齢化が進行しており、高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は県庁所在地で第1位です。しかし、筆者はそれを優位性と捉えています。なぜなら、シニア世代が蓄積した経験や知恵は社会の宝。市民活動などを通じて社会を支える側に回ってもらえば、地域の活性化、発展に貢献でき、日本が抱える社会構造の大きな課題に対応できるはずです。

 特にシニア男性は、これまで企業戦士として、会社組織の中で長い人生の大半を過ごしてきました。ほとんどの方が、地域との接点を全く持たずに定年退職を迎えています。こういう方の多くは、定年退職後に居場所をつくることができず、家の中に引きこもるか、何もすることがなく暇を持て余しているのではないでしょうか。それは社会全体にとっても、本人にとっても、あまりにもったいないことです。

 そもそもこのシニア世代は、第一次ベビーブームにより生まれた方々で、戦争の呪縛から解き放たれた最初の世代です。学生運動などに表されるように、「俺たちが新しい戦後の日本の主役だ」と夢を膨らませ、親や権力に反抗した気骨により、前述のとおり現在日本の礎を築きました。非常にエネルギッシュで密度の濃い世代であり、まちづくりの市民活動には、うってつけの存在であると確信しております。

 これからのまちづくりの市民活動を行うメンバーには、世代は関係なく進めていく必要があります。甲府市の今後を考えたとき、あらゆる世代がいることで多種多様な意見が出て、そのことが活動の広がり、また、新たな地域資源などを生み出す力になるからです。

 私たち、そして筆者のまちづくりの市民活動は永遠に続くものです。
 活動当初は、35歳の若造が「鳥もつ煮で甲府を元気にしたい」と言い出したことに、JR甲府駅南口の武田信玄公像南側道路を隔てて店舗を構える「とんかつ力」の主人・塩見順造さんは無謀だと面喰いました。しかし、「こいつらのこの思いを、ここでつぶしちゃいけない。風の止まった甲府のまちに風穴をあけ、風を起こし、まちを変えていこうというこの心意気は、本物だ」と受け止めていただいたことにより、塩見さんが船頭になって「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」丸のまちづくりへの挑戦の航海が始まりました。

 その後、そのとりもつ隊をベースに「鳥もつ煮で甲府を元気にしたい」から「甲府市を人の集まる元気なまちにする」を目的とし、平成23年4月、「NPO法人こうふ元気エージェンシー」を創設しました。
 そのNPO法人の理事長に就任した筆者は、「まちづくりの市民活動を会社経営に例え自立なくして継続はない」との精神から、微々たるものではありますが、7年連続して法人税等の納税をするNPO法人として、自立した運営を続けております。

 しかし、市職員がNPO法人の代表職に就くことに対する反感がある一方、法人内からは後継者への拒絶という板ばさみの状態。さすがに精神的にも辛いところがございますが、第1号のコラムでも書かせていただきましたように、一番大きなまちづくりの原動力は「そこに住まう方が目をキラキラさせて【まち自慢】すること」。先の見えない大航海ではありますが、甲府市が市民の皆様にとって誇れる郷土、愛すべき郷土となるよう、引き続き市職員とNPO法人の代表職をやり抜いていく所存です。

 それは、私の人生において最大の屈辱であり失態となった、真面目に野球と向き合わなかったために、ひと道抜けられなかったという後悔を取り戻すためでもあるのです。
 
 本コラムを読んでくださった皆様、今まで大変お世話になりました。これからも甲府市をよろしくお願いいたします。

 追伸、思えば地方自治体の二等兵にすぎない筆者に、「地方見聞録」などという大それたコラムを3年もの長きに亘り書かせていただいたことには感謝しかございません。
 この恩に報いるためにも、今後も公務と市民活動という自身のタイヤの両輪に精進することで恩返しをさせていただきます。


※写真は、10年間着続けたとりもつ隊の制服

今後の土橋の見聞予定地及びイベント出展予定

平成30年9月23日 こうふ開府500年記念100日前ディズニーパレード(甲府市)
平成30年9月29、30日 第2回山梨ベーコンフェスティバル(甲府市)
平成30年10月7日 Mt.FUZIMAKI(山中湖交流プラザきらら)
平成30年10月22日~11月4日 甲府ん!路地横丁はしご酒ウィーク
平成30年10月27日 甲府大好き祭り(甲府市)
平成30年12月1日  やまなし公共交通フェスティバル(甲府市)
平成30年12月15日 甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊10周年記念パーティー(甲府市)
平成30年12月22日~ こうふ開府500年記念 オープニングウィーク(甲府市)

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土橋 克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

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