VOL.30 キーマンは「よそ者」ではなく「地者」。地域住民の覚醒がまちを変える!

「若者、ばか者、よそ者」
 地域の再生や活性化に必要な要素として、どこででも挙げられる、もはや魔法の言葉となりつつあります。

 「若者」は、積極的に活動に取り組む実働部隊。地域に若い人が大勢いれば、それだけで活気づきます。筆者の甲府も含め、地域の再生や活性化を叫ぶ自治体の多くは、若者の人口流出に拍車がかかっていますから、「若者」がいかに地域に必要とされているかが分かります。

 「ばか者」は、馬鹿と思えるくらい一生懸命に活動する人のことで、周囲から見れば異端児。目標に向かって行動していく計り知れない行動力を持った人こそ、ことを起こすプロジェクトには必要であります。
 ちなみに、わたくしは毎度このカテゴリーと見なされますが、激しく「違う」と、この場を借りて訂正します(笑)
 その答えは、後ほど明らかになります。

 「若者」、「ばか者」のタイプは、どの地域にも必ずいますが…圧倒的に少ないのが「よそ者」です。
 日本はまだまだ保守的。地域の中で「よそ者」が幅を利かせられる社会ではありませんが、必ずキーマンとして「よそ者」の存在が挙がります。

 確かに、地域の再生や活性化の視点でみるなら、「よそ者」には地域の人たちが当たり前と思っている既成概念がなく、本来価値があるものを客観的な新しい視点で、その土地の人たちに教えてくれます。また、しがらみがないからこそ、自由な発想や行動が可能。私が知っている地域の再生や活性化の成功事例でも、必ずこの「よそ者」の存在が際立っています。

 筆者のNPO法人活動のタイヤの両輪である、甲府で生まれた鳥もつ煮を通じた、ご当地グルメをPRする「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」と、人口当たりの飲み屋率が異常に高いことから、天然の古き良き空間が残る路地横丁をPRする「甲府ん!路地横丁楽会」のヒントをくれたのも、確かに「よそ者」であります。

 しかし、この「よそ者」に頼りすぎてはいないでしょうか?
魔法の言葉になりつつある「若者、ばか者、よそ者」を唱えることで、当事者となる地元民が思考停止し、逃げていないか、ということです。

 10年近く市民活動を続ける筆者は僭越ではありますが、地域の再生や活性化には何が必要で、どうすればうまくいくのかが見えてきた気がしております。
 必要なのは、「人の自立」・「地域の自立」。
 最低限、自分たちで何とかしなければならないという危機感がなければ、物事の歯車は絶対に動きません。

 税金で生活をさせていただいている筆者が、これから書くことに嫌悪感をもたれる方もいると思いますが、地域の再生や活性化は往々にして行政が先頭にたつケースが多いものです。しかし、行政主導ではうまく進みません。
 理由は、担当者が熱心に頑張っても、2~3年ごとに入れ替わるローテーション職員では、ノウハウが蓄積されないこともあります。けれど、それよりも問題なのが、「地域に元気がないのはなぜでしょうか」の質問に対し、住民が「行政が悪い、自分たちのせいじゃない」と言い切ってしまうことではないでしょうか。

 確かに、行政の失態によるものもありますが、地域の住民が自立し、主体的に活動を進めなくては、地域の再生や活性化は決して実現しません。行政がやるべきは、地域住民が中心的立場を担えるようなお膳立てなのです。

 筆者もこのような経験をしました。平成20年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」の活動を始めた当初、甲府市内にある全ての鳥もつ煮を提供する店舗に出向き、協力をお願いしました。しかし、ほとんどのお店は「何をしてくれるのだい」と顔をしかめました。無理もないでしょう。私が差し出した名刺は福祉部職員といえども甲府市職員。

 それが、活動を続けていくと、我々の活動が公務ではなく、自らのプライベートを削った市民活動だと理解していただけたのでしょう。続々と「何をしたらいいのだい」に変わっていきました。今でも、あの時の高揚感は忘れられません。そこから、表現が悪いかもしれませんが、市民活動という〝麻薬〟に取り憑かれました。

 「自分たちで何とかしなければ」という危機感と、自立への強い意志があれば、地域は必ず変わります。今では超有名温泉となった大分県の湯布院や熊本県の黒川温泉も、かつては田舎のひなびた温泉。「このままでは終わってしまう」と確信した地域と住民の危機感が自立へとつながり、日本屈指の人気を誇る温泉地へと生まれ変わりました。

このことからも、地域の再生と活性化をするのは「若者、ばか者、よそ者」ばかりではありません。必要なのは、一般の地元住民である「地者」。彼らが地域の将来を心の底から案じ、地元愛によって生み出したアイデアこそ、まちを変える原動力になるのです。
 安易に「よそ者」に頼るのではなく、生まれ育ったまちを見て来た「地者」の想い、行動が、まちを磨き、輝かせると信じています。

今後の土橋の見聞予定地及びイベント出展予定

平成30年3月17日 甲府ん!路地横丁フォーラム(甲府市)
平成30年3月17日 圏央道内回り・外回りSA「甲府鳥もつ煮」提供開始に伴うPR活動(神奈川県厚木市)
平成30年3月18日 第7弾 やまぼこ探検隊(甲府市)
平成30年4月7日 信玄公祭り「津ぎょうざ小学校」と合同出展(甲府市)
平成30年4月12日 第13回「法人会全国女性フォーラム」in山梨大会(甲府市)
平成30年5月4日 多摩源流まつり(山梨県小菅村)
平成30年5月12、13日 甲府市民「津ツアー」(津市)
平成30年6月2日 2018年度第43回東海大学高等学校連合会in山梨(甲府市)
平成30年6月19日 甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊創設10周年記念式典

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土橋 克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

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