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岩手県陸前高田市にある「神田葡萄園」は、明治38年創業の老舗。「山海陸前宝(さんかいりくぜんたから)」と呼ぶにふさわしい、山と海そして川に囲まれた自然と共存するワイナリーです。ブドウの栽培からワインの醸造まで一貫生産にこだわって、三陸の豊かな食材とマリアージュする「海のワイン」を手掛けています。

初代・熊谷福松さんが植えた西洋ブドウの苗木10本が神田葡萄園の始まりです。年月を経てブドウは約100本にもなり大豊作。生売りで捌ききれなくなったブドウを絞り、その果汁を販売したのが神田葡萄園ワイン造りの原点です。

東日本大震災も乗り越えて
6代目熊谷彰浩さんがこの土地でワイン造りを再開したのは、2013年のこと。もともと2011年に再開予定でしたが、その矢先に東日本大震災に見舞われます。約2km離れた海から津波は押し寄せ浸水。泥やガレキによりブドウ畑や事務所も無残な姿になったそう。その後、たくさんの人に助けられながら復旧作業を開始。海水による塩害を心配したブドウの樹も芽吹き、なんとその年に収穫もできました。「まるでブドウに頑張れと励まされているような、そんな気持ちだった。」と言います。

食と人と風土に寄り添うワイン造り
「この陸前高田の地にワインを根付かせたい。豊かな海産物に恵まれたこの土地ならではのワインを造りたい。」との想いで始めたワイン造りでしたが、苦労も多かったそう。そもそもブドウ栽培に重要な要素は、日射量と昼夜の寒暖差です。それに対して「陸前高田は多雨多湿で、昼夜の寒暖差も穏やかな土地。決してブドウ栽培に適した土地とは言えない。」でも、だからこそ「爽やかでスッキリ、飲みやすいワインが造れるはず。」と熊谷さん。品種選びや栽培方法など改良を重ねながら、陸前高田でしか造れないワインを追求しています。

海から運ばれる潮風をエッセンスに加えて
神田葡萄園のスタンダードラインは「THE RIAS WINE -リアスワイン-」シリーズ。三陸の魚介と一緒に楽しんでほしいとの想いから、別名「シーフードワイン」と呼ばれています。白・ロゼ・赤・スパークリングと揃いますが、なかでも注目は「アルバリーニョ」。冷涼な潮風によって育まれるフレッシュな酸味とミネラル感、じんわり果実味を感じられる白ワインです。またフルーティーで透明感ある香りとスッキリした飲み口が人気の「ナイアガラ」は、すでに完売。2022年12月にヴィンテージを発売予定です。ショップでは、昭和45年から変わらぬ味で愛される「マスカットサイダー」や「ぶどう液」などローカルドリンクも販売しています。
