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仙台駅から車で約30分。自然豊かな温泉地・秋保(あきう)にある「秋保ワイナリー」は、東日本大震災からの復興を願う人々の熱い思いが集まって、2015年に誕生したワイナリーです。沿岸部にあった県内唯一のワイナリーを津波で失った宮城に、希望の灯をともした開業から7年。今や6カ所に増えた県内のワイナリーと共に、宮城のワイン文化とワインツーリズムの楽しみを発信しています。

被災地に新しいワイナリーを
代表の毛利親房さんは、震災当時は設計会社に勤めていましたが、復興支援に関わる中で「ワイナリーを造って、食とツーリズムによる賑わいを被災地・東北にもたらしたい」と、ゼロからの起業を決意。土地探しに各地を奔走していました。そんなある日、たまたま立ち寄った友人の工房で、「うちの裏山はどう?」と秋保の休耕地を紹介されます。
「復興のためなら」と、すぐに行動を起こしてくれた地元の関係者と地権者、ジャングルのようだった土地の開墾を手伝ってくれた200人以上のボランティアなど、多くの協力者が実現を後押ししました。

秋保のワインを育むテロワール
秋保は、南と北に山が連なる谷地で、中央に名取川が流れる地形。「谷と川を吹き抜ける風で畑の風通しが良く、日当たりも水はけも申し分ない」と、栽培地としての魅力を語る毛利さん。
さらに「昔から建材用の秋保石という凝灰岩が掘り出されてきた地で、この成分が畑にミネラル分を与えていることを、後になって知りました。畑仕事のときは邪魔だなーと思っていた石が、実はミネラル感のあるワインを生み出していたのだと…。偶然出合った土地の持つテロワールに感謝です」。
現在12種類・約7000本のブドウを栽培。主軸は、赤がメルロー、白がゲヴュルツトラミネールとピノ・グリ。アルバリーニョとシャルドネにも手応えを感じているそうです。

東北の食にマッチしたワイン&シードル
現在のスタンダードラインは、山形のブドウで醸造した「リバーウインズシリーズ(赤・白・ロゼ)」。「ブラン2020」は、日本女性が審査する国際的ワインコンペティション「サクラアワード2021」でゴールドを受賞した自信作です。
陰干しして糖度を高めた自社ブドウをブレンドした「クラフトバレー ブレンドルージュ」、テレビドラマ「#居酒屋新幹線」で紹介され人気に火が付いた「秋保クラフトシードル」にも注目。
「今後力を入れていきたい」という自社ブドウ100%のワインは、すでに完売し、2022年は白を6月に、赤を秋に発売予定です。
ショップでは、生産者とワイナリーのコラボ商品など、ちょっと凝った〝宮城のおいしいモノ〟を販売。ワインのグラス飲みもできます。
