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土橋克己の「地方見聞録」

まずは「やってみる!」。たった3年でシャッター商店街を再生した日南市に学ぶこと

 行ったことはないけれど、馴染み深い都市って皆さんにも必ずあると思います。
 今回は、己の眼球で視て、肌で感じ、人の温もりを受けた都市ではないのですが、宮崎県日南市を取り上げさせていただきます。

 日南市は、宮崎県の南部に位置し、東に日向灘を臨み、西は都城市、南は串間市、北は宮崎市に隣接しています。九州の「小京都」と称される飫肥(おび)や宮崎市から日南市を経て鹿児島県に至る延長112kmはリアス式海岸で、日南海岸国定公園に指定されるなど、歴史と自然あふれる観光の街であります。

 私にとって日南市とは、小学1年時から愛してやまない広島東洋カープのキャンプ地。1963年から54年間も迎え入れている聖地であります。かつて、人気球団の読売ジャイアンツからキャンプ地のオファーがあったそうですが、この街を有名にしてくれたカープを裏切れないとの思いから、断ったという逸話もあります。義理人情厚い気骨ある都市なのです。
 あっ!すみません。熱烈なファンということで広島東洋カープネタのみとなりましたが、埼玉西部ライオンズも日南市でキャンプをしております。

 また、「モアイゴリラ」として万人に親しまれている?私としては、何故に世界七不思議の一つであるイースター島のモアイ像が、日南市に完全復刻されているのかということで調べた過去があります。

 謎を解く鍵はズバリ「日本の平和貢献事業」と「日本人の血潮」です。

 1988年、あるテレビ局が、昔々の部族間の争いと、1960年のチリ大地震等で倒壊したモアイ像を放映しました。荒廃した世界の文化財であるモアイ像の姿に、「修復こそが平和に貢献する日本の役割」と四国のクレーンメーカーのタダノ様、奈良国立文化財研究所様及び飛鳥建設様の三者がモアイ修復委員会を結成。現地での弛まない努力により、復元に成功しました。これを機に、イースター島は「ラパヌイ国立公園」としてユネスコ世界遺産に登録する事ができたのです。

 そして、イースター島の長老会は世界で初めて、モアイ修復チームに対し、日本での復刻建設を許可しました。海を背景にしたイースター島を思わせる日南海岸がモアイ建立に相応しい景観であることから、サンメッセ日南の地に建立されたのであります。
 いまや、サンメッセ日南は、るるぶの宮崎観光ランキングベスト3の常連となるなど、宮崎県を代表する観光名所となっています。

 今、日南市がとっても熱いのです!温暖多照の気候条件でなく。
 どこの地方都市にもある寂れたシャッター街だった「油津商店街」をたった3年で元気いっぱいに蘇らせ、経済産業省の「はばたく商店街30選」にも選ばれました。その商店街に昨年4月、IT企業のサテライトオフィスが進出したことを皮切りに、9社(10社が5年間で289名の雇用を予定)の立地が決定。現在も進出企業が続々と視察に訪れるなど、地域活性化のモデルとして全国から注目を集めています。

 九州最年少市長として33歳で就任した崎田市長は、自治体にマーケティングの考え方を持ち込み、民間と行政の良いところを組み合わせるマーケティング戦略で、市役所とは思えないスピード感を実現しています。

 市長が公約の一つに掲げたのは、「マーケティング畑の民間人登用」。観光商品開発や広告・宣伝・販促、企業・起業家の誘致など‘外需を獲得し雇用創出’を行う「マーケティング専門官」、前述の油津商店街の再生を担う‘内需循環’の「テナントミックスサポートマネージャー」、九州の小京都・飫肥城下町の空き家対策に取り組む‘価値の再発掘’の「まちなみ再生コーディネーター」の3人を登用。この『民間人行政マン』と、『既存の日南行政マン』の長所が見事にブレンドされ化学反応が起こった結果、世間で揶揄されます「お役所仕事」のイメージとは真逆の自治体運営がなされています。

 しかし、日南市のマーケティング戦略を語る上で絶対に外せないのが、私も福岡県田川市の講演会でご一緒させていただいたことがある、「マーケティング専門官」を務める田鹿倫基さんの存在だと思います。
 田鹿さんは、名産物の開発や6次産業化、観光PR、さらには企業・起業家の誘致など、ユニークな施策を積極的に展開している仕掛け人です。

 田鹿さんが着目しているのが、「地域の生産性をどう高めるのか」ということ。
 地域の需要(=マーケット)よりも急激に減る地域の供給(=生産)をどう再構築するかに着目し、「一人あたりの生産性の向上」と「労働市場への新規参入を促す」ことの必要性を説いています。目指すのは、日南市の地域資源と企業のリソースを活用し、一緒に事業を作っていける【日本一、企業と組みやすい自治体】。企業と真摯に向き合い、共に課題を解決する柔軟性とスバ抜けたスピード感により、全国のIT企業のサテライトオフィスが続々と集結。9ヶ月で10社という信じられない成果を生んでいるのです。

 田鹿さんの考え方の中で、私も同意させていただいているのが、一般的な仕事の進め方と言われている「P(計画)D(行動)C(検証)A(改善)」ではなく、「DCAP」だということ。

 「DCAP」のコンセプトは、至ってシンプルで「とにかく実行すること」。
 実行した結果を元にCをしてAをして、Pを立てる手法です。
 荒っぽいと思われますが、実は多くの成功事例は、やったもの勝ち。とにかくやってみないと分からない。やってから考えた方が、具体的で現実的な計画をたてることができるものなのです。

 しかし、失敗が許されない世の流れである行政が、この「DCAP」手法で事業を進めることは不可能だと私は感じていましたので、9年前から一市民となって己等の自己責任で事を起こせる市民活動を始めたのであります。
 その己が不可能だと確信していた事を可能にした日南市に大変興味があることから、今回取り上げさせていただきました。

 では、何故日南市が不可能を可能にしたのかは、「市民、市役所、そして社会の寛容性」があるからです。
 現在のような先行不透明な時代にあっては、行政が完璧な計画を立てることなど到底不可能だと思います。それは企業とて同じでしょう。
 だからこそ、どこよりも素早く行動(D)し、市場や住民の反応を確認しながら、常に検証(C)、改善(A)を続けることが優先させるべきです。

 地域づくりという物事を起こすことは、地を這うような暗中模索を続けて、一筋の光(成功)を探していくことです。
 お世辞にも、恵まれた地域とは思えない日南市ですが、まずは「やる」が出来る日南市ですから、今後も輝き続けることは間違いないと感じています。
のイメージ写真

今後の土橋の見聞予定地及びイベント出展予定

平成29年2月11、12日 2017東海・北陸B-1グランプリin富士(静岡県富士市)
平成29年2月25、26日 勝浦ビック雛祭り等(千葉県勝浦市)
平成29年3月4日 サッカーJ1リーグ ヴァンフォーレ甲府ホーム開幕戦出展
平成29年3月18、19日 第3回 愛Bリーガー大運動会in佐伯(大分県佐伯市)
平成29年4月1日 母校「中央大学」訪問(東京都八王子市)
平成29年4月8日 信玄公祭り(美味い都市団体「津ぎょうざ小学校出展」)
平成29年5月20、21日 美味い都市団体「津市民!甲府ツアー」
平成29年5月27、28、29日 福岡市・久留米市視察(福岡県周辺)

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土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

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土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

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