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土橋克己の「地方見聞録」

都市間競争の時代、個性なき自治体は消滅する?!

写真は甲府市役所

写真は甲府市役所

 
 「21世紀は都市間競争の時代」と称されて久しい。
何の獲得を目指して、自治体や都市間は競争するのでしょうか……

 かの有名な経営学者ピーター・ドラッカーは、事業を進めていくための目的について「顧客の開拓」と端的に述べています。顧客が増えていかないことには、事業の活動は担保されません。これを自治体に置き換えれば、〝顧客〟とは〝住民〟となると思います。そして、地方自治体が都市間競争に取り組む目的は「住民の獲得」となるのでしょう。

 2014年、全国の896自治体が「消滅可能性都市」と試算され、大きな課題となりました。少子化や、地方から都市への人口流出により、将来、消滅する可能性がある自治体を挙げたもので、具体的には、子どもを産む年代である20~39歳の女性の人口が、2010年から2040年の30年間で5割以上減少する市区町村としています。

 これからの自治体にとって最も重要な課題の一つが、こうした人口構造の変化です。人口問題が自治体にとって重要になればなるほど、自治体間での人口の「取り合い」は加速していくことでしょう。

 しかし、都市間競争の時代の前に、既に競争をしていた自治体間があることは、皆様ご存知でしょうか?
 

京都府   2,611千人 京都市  1,475千人  56.4%
宮城県   2,335千人 仙台市  1,083千人  46.4%
高知県    729千人 高知市   338千人  46.3%
香川県    977千人 高松市   421千人  43.0%
神奈川県  9,128千人 横浜市  3,727千人  40.8%

(参考)
山梨県    836千人 甲府市   194千人  23.2%


 上の表は、都道府県庁所在地がその都道府県に占める人口割合を計算したものです。
筆者の甲府市を除くこれらの都市については、県内周辺自治体との規模が違うことから、我関せずといったところでしょう。しかし、筆者の独断ではありますが、日本中には古くから互いにライバル視しながら、都市間競争で切磋琢磨している都市があります。

●北海道  旭川市 VS 函館市
●青森県  青森市 VS 弘前市 VS 八戸市
●福島県  福島市 VS 郡山市 VS いわき市
●群馬県  前橋市 VS 高崎市 VS 太田市
●富山県  富山市 VS 高岡市
●長野県  長野市 VS 松本市
●静岡県  静岡市 VS 浜松市
●三重県  津市 VS 四日市市 VS 鈴鹿市
●岡山県  岡山市 VS 倉敷市
●広島県  福山市 VS 呉市
●山口県  山口市 VS 下関市
●福岡県  福岡市 VS 北九州市
●長崎県  長崎市 VS 佐世保市

 これらの都市は、人口規模が似通っていて、歴史的背景やそこに住まう者のシビックプライドなどから、常にライバル都市の動向を気にし、負けないための対策を講じ続けています。その姿勢が、緊張感ある市政運営に繋がっているのです。

 人口が増加する時代と減少する時代では、自治体の行政運営も大きく異なってきます。人口が増加する時代では、自治体が住民のために保障しなければならない最低限度の生活水準「シビルミニマム」の確保が行政運営の目標でした。そのことから、全国どの自治体でも同じ水準の画一的な行政サービスとなっていました。

 しかし、人口が減少する時代においては、自治体が「シビルミニマム」を標榜していては存在し得なくなります。
 今の行政に求められているのは「シビルマキシマム」です。
 「シビルマキシマム」とは、個性的かつ柔軟性を持った行政運営であり、個々の自治体が「これだけは他には負けない」という分野の政策を最大限に推進すること。そして差異化戦略により、都市間競争における優位性を獲得することです。

 人口維持あるいは増加を目指していくためには、自治体がそれぞれの地域性や空間的特徴などの個性(特色)を活かさなければなりません。創意工夫を凝らした政策を開発し、魅力ある自治体を実現することにより、他地域から住民を獲得することができます。

 これから起こる可能性があるのは、住民が自分の住まう自治体から出て行く権利を行使する『足による投票』です。住民は自分が望む行政サービスを行う自治体に住むことを望み、望まない自治体からは離れていく(引っ越していく)。この行動を起こすことで住民は自らの意思表明を明確にするのです。
 
 それは、よい政策形成を展開している自治体には住民が集まる一方、政策形成の乏しい自治体からは流出してしまうということ。
 来る時代のために重要なのは、自治体職員の能力です。
これから求められる職員像は、「与えられた職務を遂行する力」、「新しい考えを生み出す力」、「自発性を発揮する力」です。
一自治体の二等兵である筆者自らへの戒めのためにも、本コラムに書き残しておきます。


 

今後の土橋の見聞予定地及びイベント出展予定

7月1日    山梨県立大学 講義(甲府市)
7月7日    SAI(埼)KAI(甲斐)TAKU事業(埼玉県秩父市、山梨県山梨市)
7月23、24日 徳島ひょうたん島水都祭2016(徳島市)
9月11日   やまぼこ探検隊 甲府市中心街を探れ(甲府市)
9月24、25日 2016東海・北陸B-1グランプリin坂井(福井県坂井市)
11月19、20日 2016西日本B-1グランプリin佐伯(大分県佐伯市)
12月3、4日  B-1グランプリスペシャルinお台場
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土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

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土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

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