COLUMN

土橋克己の「地方見聞録」

体育着、ナポレオン…。「ご当地キャラクター」は愛Bリーグが誇るヒーロー

 ご当地グルメにより己の生まれ育ったまちを元気にするために、魂込めて活動をしている愛Bリーガー達は、それぞれが奇抜かつユーモアのある衣装をまとい、まちを売り込んでいます。

 ここで皆さんにお伝えしたいのが、私達愛Bリーガーは、アニメやゲームなどの登場人物やキャラクター、さらに特定の職業の制服や着衣を好む方々が、その衣装に扮するコスプレをしているのではありません。まちを売るために己が使命をもって身にまとっているのです。

 何故に衣装を身にまとうかといいますと、その衣装にはストーリーがあるからです。一枚目の写真は、三重県の「津ぎょうざ小学校」。筆者より年上のおじ様方が真冬でも、小学校の体操着の半袖半ズボンの衣装で、まちを売るためにPRをしています。

 「津ぎょうざ」は直径15cmの大きな皮に包まれた揚げ餃子。これが、おじ様方の体操着姿と何の関係があるかといいますと、津ぎょうざが津市内の小学校の給食メニューだからです。約30年前、小学生に美味しい物をお腹いっぱい食べてもらおうと、管理栄養士、調理員の知恵と愛情が生み出した逸品。現在も小学生たちの大人気メニューとなっています。けれど給食でしか味わえない幻のメニュー。そこに着目し、「津ぎょうざ小学校」というストーリーが出来上がりました。体操服は小学校にちなんだ姿。さらに校歌を作成し、ピアニカを演奏したりして、学校給食が発祥の「津ぎょうざ」でまちをPRしています。

 二枚目の写真、福島県双葉郡浪江町『浪江焼麺太国』も、特徴的なファッションが目を引く市民活動団体です。太国を率いる「やきそば太王」のイメージはフランス皇帝ナポレオン。しかも頭上には、やきそばを掲げています。部下の愉快な仲間達は「レギュラー麺バー」という設定。東日本大震災により、故郷から離れて「まちおこし」から「まちのこし(残し)」に向けて活動を続け、第8回B-1グランプリin豊川大会において、ゴールドグランプリを受賞しております。

 彼らがPRする「なみえ焼きそば」は約50年前、労働者のために考案されました。食べ応えと腹持ちをよくするため、麺の太さは通常の約3倍。豚肉とモヤシだけのシンプルな具に、うまみたっぷり濃厚ソースを絡めています。

 「津ぎょうざ小学校」のおじ様にも、「浪江焼麺太国」の太王にもお子さんはいます。
当初は父親がまちのためとはいっても、来場者の皆さんに面白がられているのではないかと心配し、「お父さん、その格好は恥ずかしいから止めて!」と言ったそうです。
しかし、彼らは愛するまちのためにやり続けました。例え子どもたちと摩擦が生じてもなんです。

 父の想いが子どもたちに通じたのは、イベントで父の姿を見たときだったそう。まちのために一生懸命、汗をかきながら、来場者一人ひとりに声かけをする姿。そして、その必死な想いに呼応するかの如く、「好奇な目」から「高貴な目」へと変化していった来場者の皆さんのまなざし。それに気付いたとき、恥ずかしかったお父さんが、自慢の誇れるお父さんに変わりました。

 だから私は、彼等こそ愛されるべき真の‘ご当地キャラクター’だと確信しております。

 いまの時代、必要なモノは大抵すでに揃っていて、なかなかモノ自体に対しての興味は沸かないものです。
私達、愛Bリーガーは人に何かを伝える時、ストーリーが何より優れた手段であることを知っています。人は、ストーリーを好む生き物であることを……

 ですから、私達はご当地グルメが何故生まれたのかということを伝えています。
「時代背景から生まれた」、「開発者の失敗から偶然生まれた」、「子どものおやつとして生まれた」といった歴史ストーリーは、宣伝のためではなく、リアルな体験から紡ぎ出されたものだからこそ、他の土地とは絶対に重ならないのです。

 その歴史ストーリーは、人を引き込み、驚かせ、感動させます。そして、人の心に残り続けます。
人の行動や考えの90%は、潜在意識が決定していると言われ、ストーリーは人の潜在意識に働きかけるとも言われています。

 まちのことを考え、深く学び導かれた先にある衣装は、実は洗練されたものなのです。
まちのために、自らの休日を潰してまで、‘ご当地キャラクター’に変身し、華麗にまちを売り込む彼らは、愛Bリーガーの誇りであり、そのまちのヒーローであることはお解かりいただけたと思います。

 ヒーローとは、「今やらねばいつできる、私がやらねばだれがやる」を体現する人。誰かが与えてくれるのを待つのではなく、自分から求め探求する人に他なりません。

今後の土橋の見聞予定地及びイベント出展予定

4月16~18日 沖縄県恩納村(視察)
  • twitter SHARE
  • facebook SHARE
  • googlePlus SHARE

Posted by

土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

Posted by

土橋克己/山梨県甲府市役所職員

1973年生まれ、甲府市出身。中央大学商学部(硬式野球部)卒業。甲府市役所に勤務する傍ら2008年、「甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」結成。10年、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリin厚木」で最高賞のゴールドグランプリ獲得。11年、NPO法人こうふ元気エージェンシー設立。2014年、「甲府ん!路地横丁楽会」を立ち上げ、甲府市中心街の路地―横丁文化の魅力を発信する活動に取り組む。

【土橋克己フェイスブック】
https://www.facebook.com/katsumi.dobashi
【甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊ホームページ】
http://www7b.biglobe.ne.jp/~torimotsu/
【甲府ん!路地横丁楽会フェイスブックページ】
https://www.facebook.com/kofunrojiykocho?fref=nf

土橋克己の「地方見聞録」

Recommend
他のオススメ記事